宅地建物取引業(宅建業)を始めるには、必ず宅建業免許が必要です。神奈川県内で不動産業を開業したいと考えている方へ、免許取得の基本的な流れや申請要件、そして複雑な必要書類について、神奈川の行政書士が解説します。
宅建業免許とは?「知事免許」か「大臣免許」かを確認!
宅建業免許には、事業を行う区域によって以下の2種類があります。
都道府県知事免許
一つの都道府県内のみに事務所を設置して事業を行う場合
・申請先:事務所を置く都道府県
・申請手数料:33,000円
神奈川県内のみで開業する場合は、神奈川県知事免許を取得します。
国土交通大臣免許
二つ以上の都道府県に事務所を設置して事業を行う場合
例えば神奈川県と東京都に事務所がある場合
・申請先:国土交通省(主たる事務所を置く都道府県を経由)
・登録免許税:90,000円
免許取得のための5つの要件
宅建業免許を取得するには、主に以下の5つの要件を満たす必要があります。
①事務所の設置
宅建業を営むための継続的な利用が可能な事務所が必要です。
独立性
他のテナントや住居部分と明確に区分され、誰でも自由に出入りできる状態でないこと(パーテーション等による区分が必要です)。
専用性
原則として、他の用途と兼用されていないこと。自宅兼事務所の場合は、玄関が別であるなど、明確な独立性が求められます。
備品の完備
固定電話、机、椅子などの営業に必要な備品が整っている必要があります。
②専任の宅地建物取引士の設置
事務所ごとに、宅建業に従事する者5名につき1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を設置しなければなりません。
専任性
その事務所に常勤し、専ら宅建業に従事できる状態であること。
資格
有効な宅地建物取引士証を保有していること。
宅建試験に合格しているものの、登録をしておらず、取引証の交付を受けていなかったり、登録の有効期限を過ぎているにもかかわらず、更新をしていない場合は、有効な取引証の所持者とはいえません。
③欠格事由に該当しないこと
申請者(法人の場合は役員、個人の場合は本人、政令で定める使用人)が、宅建業法で定める欠格事由(不正行為による免許取消から5年を経過していない、禁錮以上の刑に処せられ5年を経過していない、破線手続き開始の決定を受け復権を得ていないなど)に該当しないことが必要です。
④財産的基礎
法人の場合は、資本金1,000万円以上、個人の場合は500万円以上の自己資金が必要とされていましたが、現行法ではこの要件は削除されています。ただし、十分な財産的基礎(営業に必要な経費の確保)があるかは、審査対象となります。
⑤営業保証金または保証協会への加入
免許を取得しても、すぐに営業を開始できるわけではありません。営業開始までに、消費者保護のため、以下のいずれかの措置を講じる必要があります。
営業保証金の供託
主たる事務所1,000万円、その他の事務所1カ所につき500万円を法務局に供託する。
保証協会へ加入
宅建業保証協会(全日または全宅)に加入し、弁済業務保証金分担金(主たる事務所60万円、その他の事務所1カ所につき30万円)を納付する。
現実的には負担の少ない、保証協会への加入を選択する業者がほとんどです。
神奈川県知事免許の申請手続きと必要書類
神奈川県知事免許の申請は、主たる事務所の所在地を管轄する県土整備局または各地域県政総合センターの窓口で行います。
①必要書類の準備(申請書作成、添付書類収集)
②神奈川県へ申請書類の提出(手数料33,000円を納付)
③審査(約30日~40日、申請内容の確認、事務所の調査など)
④免許通知
⑤営業保証金の供託または保証協会への加入(加入の場合は、県へ届出)
⑥営業開始
主な必要書類(抜粋)
新規申請の場合、申請書に加えて、多岐にわたる添付書類が必要です。代表的なものをまとめます。
| 分類 | 主な必要書類 | 備考(特に重要な点) |
| 申請者・役員等 | 宅建業免許申請(様式第1号) | 神奈川県のホームページからダウンロード |
| 履歴事項全部証明書(法人)/住民票の写し(個人) | 発行から3ヶ月以内のもの | |
| 役員等の氏名一覧表、略歴書 | 専任の取引士を含む役員等全員分 | |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村が発行するもの(破産宣告等を受けていない証明) | |
| 登記されていないことの証明書 | 法務局が発行するもの(成年被後見人等でない証明) | |
| 事務所 | 事務所を使用する権原に関する書面 | 賃貸借契約書の写しなど |
| 事務所付近の地図・平面図・写真 | 事務所が専用で独立していることが分かるように撮影・作成する | |
| 専任の取引士 | 専任の取引士設置証明書 | 事務所の専任であることを証明 |
| 宅地建物取引士証の写し | 有効期間内のもの | |
| 従事証明書・誓約書 | 専任であることの誓約書、直前勤務先での従事期間の証明書等 | |
| 財産 | 宅地建物取引業経歴書 | 新設法人は開始時の貸借対照表を添付 |
| 納税証明書 | 直近1年分の納税証明書(その1・その2) |
申請書類は神奈川県が定める綴じ方や部数に従って提出する必要があります。また、登記されていないことの証明書や身分証明書など、普段あまり取得しない書類が多く、収集に時間を要します。不備があると審査が遅れる原因にもなりますので注意が必要です。
特に、事務所の独立性の証明や専任の取引士の要件具備については、行政の指導が厳しく、不備による補正が多いのがポイントです。
当事務所では最新の法令や県の指導基準を熟知しています。煩雑な書類作成や行政との調整を代行いたします。お気軽にご連絡ください。
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