宅建業の免許を取得して、事業を開始する際に従業者名簿の作成と備え付けが義務付けられます。
従業者名簿は、行政庁の立ち入り検査においてチェックされる重要書類の一つです。
今回は、宅建業免許を取扱う行政書士が、従業者名簿の正しい作り方から保存期間や近年の法改正による変更点など、実務上のポイントを解説します。
従業者名簿とは?
宅建業法では、宅建業者に対して、その事務所ごとに従業者名簿を備え付けることを義務付けています。
ここでいう従業者とは、正社員だけでなく、パート・アルバイト、役員、さらには他社から派遣されている方も含みます。宅建業の業務に従事するすべての方が対象となりますので、総務や経理などであっても宅建業部門に関与している場合は名簿への記載が必要です。
また、作成し保管するだけでは不十分で、各事務所に備え置く必要があります。
この備え置くというのはいつでも閲覧できる状態にしておくことを意味します。
従業者名簿の記載事項と重要な注意点
従業者名簿に記載すべき事項は、宅建業法施行規則によって定められています。記載すべき事項は過去の法改正により変更が生じています。
個人情報保護の観点から、以前は記載が必須だった住所は、現在は記載事項から削除されています。 古いひな形やネット上の古い情報をそのまま使わないように注意が必要です。
現在の正しい記載事項
・氏名
・生年月日
・主たる職務内容
・宅地建物取引士であるかどうかの別
・当該事務所の従業者となった年月日
・当該事務所の従業者でなくなった場合はその年月日
従業者名簿の保存期間は?
保存期間: 最終の記載をした日から 10年間
起算店は作成した日や事業年度の末日とかではなく、名簿に最後に何らかの記載をした日となります。
例えば、従業員が退職した際、その人の行に従業者でなくなった年月日を記入しますが、その記入日から10年間保存する義務が生じます。名簿全体が更新されるたびに起算点がスライドしていく点に注意してください。
閲覧義務と電磁的記録について
① 取引関係者からの閲覧請求
宅建業法上、利害関係人などの取引の関係者から請求があったときは、従業者名簿を閲覧させなければならないという義務があります。決して、誰に見せてもいいわけではありませんが、正当な請求があった際にすぐ提示できる体制を整えておかなければなりません。
② Excelやシステムによるデータ保存
紙媒体でファイリングする方法のほか、パソコンの電子データで作成・保存することも認められています。 ただし、データで管理する場合も、行政庁の調査や閲覧請求があった際に、いつでもすぐに画面表示や印刷ができる状態にしておくことが前提となります。バックアップやアクセス権の管理も含めて適切に運用することが肝要です。
まとめ
従業者名簿の不備や備え付け義務違反は最悪の場合、業務停止処分などの監督処分の対象となるおそれがあります。
下記事項をを改めて確認し、リスク管理を行いましょう。
・住所は記載しない(個人情報保護)
・退職後も含めて最終記載日から10年間保存する
・事務所ごとにしっかりと備え付ける
当事務所では、新規の宅建業免許申請はもちろん、日々のコンプライアンスや帳簿類・名簿類の整備に関するご相談も承っております。
宅建業に関わる各種届出等、ご不明がある場合はお気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」