グループ会社内で出た廃棄物を、自社の処理施設でまとめて処理することは出来るのでしょうか。原則として、他社の廃棄物を運搬、処理するには産業廃棄物処理業(収集運搬、処分)の許可が不可欠です。
しかし、一定の条件を満たし、知事等の認定を受けた場合に限り、許可なしでグループ内の廃棄物を処理できる会社間の廃棄物処理の特例が存在します。
今回は、この特例制度の仕組みやメリット、そして注意するべき点について解説します。

原則、他社の廃棄物処理には許可が必要

廃棄物処理法において、最も重要な原則の一つが排出事業者責任が挙げられます。事業者は、自らの事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理しなければなりません。
これを自社で行う自社処理であれば許可は不要ですが、他社の廃棄物を回収して運搬したり、処分したりする場合は、たとえそれが関連会社であっても、基本的には産廃収集運搬業や産廃処理業の許可が必要になります。
このような壁がグループ経営における効率化の妨げとなるケースがありました。

親子会社間の廃棄物処理の特例とは?

平成22年の廃棄物処理法改正により創設されたこの特例は、実質的に一体とみなせる親子会社間において、知事等の認定を受けることで、許可を不要とする制度です。
認定を受けたグループ内では、親会社が子会社の廃棄物を、あるいは子会社が親会社の廃棄物を処理することが自社処理と同等に扱われます。

特例の対象となる親子会社の定義

この制度でいう親子会社には、厳しい条件があります。

100%の資本関係があること

直接的、または間接的に発行済株式の総数を100%保有している必要があります。

完全親子関係であること

99%の保有では認められません。1株でも外部の株主がいる場合は、この特例の対象外となります。

特例を利用するメリット

この特例認定を受けることで、企業グループには以下のようなメリットがあります。

①コストの削減

グループ内で収集運搬や処分を完結できる場合、外部の処理業者に支払う委託費用を削減できます。また、各社で個別に許可を取得、維持する事務負担や更新費用の軽減にもつながります。

②廃棄物管理の一元化と効率化

グループ全体の流れを親会社が主導して管理できるため、コンプライアンスの強化に役立ちます。また、効率的な配車計画や処理施設の稼働効率向上が期待できます。

③マニフェスト運用の簡素化

特例認定を受けた親子会社間での廃棄物の受け渡しについては、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が不要となります。これにより、事務作業の工数を大幅に削減することが可能です。

認定を受けるための要件と手続き

許可が不要といっても、自動的に不要になるわけではありません。事前に都道府県知事(保健所設置市の場合は市長)の認定を受ける必要があります。

主な要件は以下のとおりです。

欠格要件に該当しないこと

役員等が廃棄物処理法違反などの罰則を受けていないこと。

経理的基礎があること

廃棄物の処理を継続的に行うための財務能力があること。

技術的能力があること

適切な処理を行うための知識や技能を有していること。
神奈川県内で申請を行う場合、事業場が横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市にある場合はそれぞれの市長へ、それ以外の地域の場合は神奈川県知事へ申請を行うことになります。自治体ごとに事前相談のルールが細かく定められているため、注意が必要です。

運用上の注意点とリスク

特例制度は便利ですが、運用の仕方を誤ると無許可営業や不法投棄とみなされるリスクがあります。

変更があった場合の届出

グループ構成に変更があった場合(株式譲渡による100%維持の解消など)は、速やかに届け出なければなりません。その際は、特例は失効し、許可なしでの処理は違法となります。

実績報告の義務

認定を受けた後は、毎年度、廃棄物の処理実績を報告する義務が生じます。

外部への委託は通常通り

特例認定を受けた会社が、さらに外部の処理業者へ委託する場合は、通常通り産業廃棄物委託契約の締結とマニフェストの交付が必要になります。

まとめ

グループ会社間での廃棄物処理の特例は、100%子会社を持つ企業にとって、物流や環境管理の最適化を図るための強力なツールとなります。
しかし、申請書類は膨大であり、環境省のガイドラインや自治体独自の審査基準を正確に理解して進める必要があります。また、認定後も適正な運用体制を維持するための社内ルールの構築が不可欠です。
許可申請に関して少しでも不安のある方は、ぜひ当事務所へご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所