神奈川県内で事業を拡大し、新たな拠点を検討されている建設業者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
その際に、直面するのが建設業許可の営業所要件です。建設業法上の営業所は、作業場や資材置き場と異なり、許可を維持・拡大するために厳格な要件が定められています。
神奈川県における許可申請は、よりデジタル化が進む一方で実態審査の厳しさは変わらず維持されています。
今回は、複数拠点を展開する際に知っておくべき営業所ごとの配置・要件について、行政書士の視点から解説します。
建設業法上の営業所とは何か?
建設業法で定める営業所の定義を正しく理解する必要があります。
登記上の名称が支店や営業所であっても、法的に営業所とみなされるか否かは、以下の実態で決まります。
・請負契約を締結する権限を有しているか
・見積もり、入札、契約締結などの実務を継続的に行っているか
これらを行う拠点は、たとえ小規模であっても営業所として扱われ、建設業許可の要件を満たす必要があります。一方、作業員の待機所、機材の保管場所、工事期間中のみ設置される現場事務所は、許可上の営業所には該当しません。
営業所ごとに求められる専任の配置
建設業許可は、すべての営業所に専任の技術者と管理責任者を配置することが大原則です。複数拠点を展開する場合、この人員確保が最大の障壁となります。
➀営業所ごとの営業所技術者(専技)の配置
建設業法では、許可を受けた建設業について、営業所ごとに専任の技術者を置くことが義務付けられています。(建設業法第7条第2号、第15条第2号)
常勤性
営業所技術者(専技)は、その営業所に常勤し、専らその業務に従事しなければなりません。他の営業所との兼務や、通勤が不可能な距離にある場所からの兼務は認められません。
技術的要件
許可を受けようとする業種に応じた国家資格や、一定の実務経験が必要です。
拠点が増えれば、その数だけ営業所技術者(専技)を確保しなければなりません。特に特定建設業の許可を維持している場合、営業所技術者(専技)に求められるハードルは高いため、計画的な採用と配置が不可欠です。
➁令3条の使用人の配置(従たる営業所)
主たる営業所(本店)には経営管理体制(経営業務の管理責任者)を配置する必要がありますが、支店などの従たる従業員には、経営業務の管理責任者を置く必要はありません。
その代わりに、従たる営業所には令3条の使用人を常勤で配置しなければなりません。
これは支店長や営業所長のように、見積もりや契約締結などの権限を本店から委任された責任者を指します。
複数拠点展開時の注意点と実務上のリスク
神奈川県内で営業所を増やす際、注意するべき点を挙げます。
物理的実体の審査
独立性
他社や他の事業スペースとパーテーションなどで明確に区分されている必要があります。
事務設備
電話、机、パソコンなど、営業活動に必要な設備が備わっているか写真審査や現地調査が行われます。
使用権原
自己所有なら登記簿、賃貸なら賃貸借契約書など、適法な使用権原があることを証明しなければなりません。
兼務に関するチェック
人手不足から、本店と支店の技術者を兼務させたい場合はどうなるでしょうか。
原則として営業所技術者(専技)で同一人物が技術者として登録されることは、基本的には認められません。
最新動向を見据えて
昨今、建設業界ではDX化の推進により、電子申請の利用が一般的になっています。神奈川県でも、許可の更新や変更届出の手続きがスムーズである一方で、許可要件の維持に関するコンプライアンス管理はデジタル時代の監視体制下でより透明性が高まっています。
営業所を増設する際は、人員を配置するだけではなく、以下の体制が整ってるか確認することが肝要です。
➀社会保険加入状況
専任の技術者及び使用人は、社会保険に適切に加入しており、常勤性が証明できること。
➁経営管理体制の維持
拠点が増えることで、本店における経営業務管理体制に影響しないか。
➂標識の掲示
新しい営業所にも、建設業法に基づく、標識を適切に掲示すること。
まとめ
神奈川県内で複数拠点を展開し、事業を拡大することは建設業者様にとって大きな事業拡大の機会といえます。しかし、営業所の増設は建設業法上の重要な変更届出事由であり、要件を満たさないまま営業を行うことは許可の取消しなどのリスクを伴います。
少しでも不安をお持ちの方は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。貴社の事業展開をコンプライアンスの観点からもサポートさせて頂きます。
「グラス湘南行政書士事務所」