産業廃棄物の運搬と聞くと、多くの方々がトラックによる陸上運搬を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、離島の多い日本において、船舶を利用した海上輸送は、効率化や環境負荷低減の観点から重要な輸送手段となります。

船舶を利用した海上輸送においても産業廃棄物を運搬する場合は、廃棄物処理法の適用を受けます。

今回は、船舶を用いて産業廃棄物を運搬する際に必要な許可申請と、遵守するべき法的ルールについて神奈川の行政書士が解説します。

船舶による運搬は積替保管の許可が肝?

産業廃棄物の運搬は、その運搬区域を管轄する都道府県知事または政令市の産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。

船舶特有のポイントは、積替保管の考え方です。

直行運搬

排出場所から処分場所まで、他の場所を経由せずに直接運ぶ場合。

積替保管

船舶とトラックを乗り継ぐ場合や、港湾施設に一時的に荷降ろしして保管する場合。
多くのケースでは、船舶からトラックまたは積替えが発生します。
この場合、収集運搬業の許可だけではなく、積替保管を含む収集運搬業の許可が必要となります。

船舶運搬に必要な法的要件

船舶を用いた運搬を行う場合、廃棄物処理法だけではなく、海上運送法や港湾法といった関連法規との整合性が求められます。

船舶の種類と要件

運搬する廃棄物の性状に応じ、飛散・流出を防止するための密閉性や防波構造などが求められます。
許可申請時には、使用する船舶の船舶検査証書の写しや、積載状況が分かる写真、図面の添付が必須です。

運搬計画の策定

行政庁に対して、以下を具体的に明示する必要があります。

積出港および積入港

港湾管理者への事前届け出が必要な場合があります。

航路の安全管理

海上での荒天時や緊急時の対応策。

流出防止措置

廃棄物が海上に流出した際の回収計画。海洋汚染防止法への対応など。

許可申請に必要な書類リスク

申請を行う場合、基本書類に加え、船舶運搬特有の書類が必要になります。

➀産業廃棄物収集運搬業許可申請書
➁事業計画の概要

船舶を用いる理由、運搬工程表、使用船舶の詳細。
➂船舶の図面および写真
荷積み状態、飛散防止措置が確認できるもの。
➃船舶検査証書の写し
船舶の登録情報と有効期限を確認します。
⑤積替保管場所に関する書類
土地の登記事項証明書や面積、囲い、掲示板の設置位置がわかる保管場所の図面、港湾施設を使用する場合の使用承諾書など。
⑥海洋汚染防止の誓約書
海洋環境保全への取り組みについての独自様式を求められることがあります。

令和8年時点の留意点

現在は、紙マニフェストからの移行がほぼ完了しています。海上運送であっても、排出口から最終処分場までの一貫した追跡が電子データで行われます。特に船舶の場合、通信環境が不安定になることも想定し、運搬先での速やかな入力体制を整えておく必要があります。

環境規制の強化

カーボンニュートラルへの対応として、船舶の省エネ化や環境負荷の低い船舶の利用が、審査時の加点要素や、今後の政策的優遇の対象となる可能性があります。

まとめ

船舶による産業廃棄物運搬は、陸上運送に比べて関係法令が多岐にわたり、許可までのハードルがやや高い傾向にあります。
特に積替保管を伴う場合、港湾の施設管理者との調整や、地域住民への事前周知など、行うべきことは多岐に渡ります。
当事務所では、産業廃棄物業者の皆様が、最大限ご活躍できるようサポートいたします。
船舶での運搬許可に関する具体的な申請手順などご確認されたい方は、当事務所までお気軽にご連絡ください。
グラス湘南行政書士事務所