令和2年10月の法改正により、社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入が建設業許可の要件となりました。これにより、加入状況に変化があった際の手続きについて、不安を感じている方も少なくありません。
今回は、社会保険の加入人数が変わったとき、神奈川県ではどのような手続きが必要なのか、という点について解説します。

社会保険の加入状況が許可の維持に直結する

以前は、社会保険の未加入は指導の対象に留まることが多かったのですが、現在は違います。適切な保険に加入していない場合、新規許可はもちろん、5年ごとの更新許可も受けられません。
そのため、従業員の増減によって加入人数が変わったとき、直ちに行政庁へ変更届を出さないと、許可が取り消されるのではないか、と思われる方もいらっしゃいます。
しかし、結論からいうと人数の増減であれば、その都度変更届を提出する必要はありません。

変更届が必要なケースと、そうでないケースとは?

ここで整理しておきたいのが、建設業法に基づく変更届を出すタイミングです。社会保険関連で、随時提出が求められるのは、主に以下のような状態の変化があったときです。

保険の加入状況が変わった

例えば、今まで適用除外だった個人事業主が、従業員を5人以上雇って社会保険の加入義務ありに変わった場合などです。

事業所番号が変わった

例えば、法人の統合や移転等に伴い、健康保険等の記号・番号が新しくなった場合などです。
一方で、今回のテーマである加入人数の変化はどうでしょうか。
建設業許可の申請書類には健康保険等の加入状況(様式第7号の3)という書類があり、ここに加入人数を記載する欄があります。従業員が入社・退職してこの人数が増減したとしても、その都度変更届を提出するルールにはなっていません。

神奈川県では決算変更届での報告でOK!

神奈川県において、加入人数の変更は、毎事業年度終了後に提出する決算変更届(事業年度終了届)に添付する書類で報告すればよいことになっています。
決算変更届は、決算期終了後4ヶ月以内に必ず提出しなければならない重要な書類です。この際、財務諸表や工事経歴書と併せて、最新の健康保険等の加入状況を提出します。

決算変更届で更新するメリット

毎回の入退社で変更届を作成、提出するのは、事業者様にとっても大きな事務負担となります。これを年1回の決算報告にまとめることで、事務の効率化が図られています。
ただし、注意点があります。決算報告で提出する加入人数は、決算日時点の状況を記載する必要があります。1年の間に人数が変動したとしても、その決算期末の数字を正しく反映させれば問題ありません。

なぜ人数の正確な把握が重要なの?

この加入人数の記載は、後の大きな手続きに影響を与えます。

①経営事項審査(経審)への影響

公共工事への入札を希望される事業者様が受ける経営事項審査(経審)では、社会保険の加入状況が厳しくチェックされます。決算報告で提出した人数に不整合があると、確認資料の追加提出を求められたり、審査がスムーズに進まないなどの原因になります。

②5年ごとの更新手続き

更新申請の際、許可行政庁は過去5年分の決算変更届を確認します。もし毎年提出している社会保険の人数が異なっていたり、提出を怠っていたりすると、この5年間適切に保険を維持していたのかと、良からぬ疑義を持たれるリスクがありますので注意が必要です。

実務上の間違えやすいポイント

健康保険と厚生年金の人数がズレている

通常、これらはセットで加入するため人数は一致するはずですが、高齢の従業員や特定の要件で片方のみ加入しているケースがあります。理由なく数字が異なると、窓口で説明を求められる可能性があります。

雇用保険の人数に事業主を含めてしまう

法人の役員や個人事業主本人は、原則として雇用保険の対象外です。ここを勘違いしてしまうケースがあります。

適用除外の判断ミス

家族経営だから入らなくても良いと勘違いしてるケースです。法人の場合は、社長一人の会社であっても社会保険への加入が必須です。

まとめ

神奈川県で建設業許可を維持していく上で、社会保険の加入人数が変わったからといって、直ちに届出をする必要はありません。

・人数が変わっただけなら、毎年の決算変更届で報告。
・保険の種別や事業所番号が変わったなら、速やかに(30日以内)変更届の提出を。

この判断を正確に行うことが、コンプライアンス遵守と事務負担軽減の両立につながります。
建設業のルールは非常に細かく、また神奈川県独自の運用ルールも存在します。本業が忙しく、毎年の決算報告や社会保険の管理まで手が回らないという経営者様は、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。正確な書類作成と期日管理を通じて、貴社の許可取得、維持をバックアップいたします。
グラス湘南行政書士事務所