今回は、産廃業の許可申請における、積替え保管ありと積替え保管なしの決定的な違いと申請の難易度や注意点について解説します。

産廃業許可における積替え保管とは?

産業廃棄物収集運搬業の許可は、大きく分けて2つの区分に分かれます。

➀積替え保管なし:排出場所から処分場まで直行で運搬する
➁積替え保管あり:自社の事業場などで一時的に荷降ろし・保管をしてから処分場へ運ぶ

積替え保管なしの運用

排出事業者の元でトラックに積み込んだ廃棄物を、そのまま中間処理施設や最終処分場へ運び入れます。一度も荷を下ろすことなく運ぶため、車両と駐車場さえ確保できれば事業を開始できます。

積替え保管ありの運用

例えば、複数現場から回収した廃棄物を一度自社の拠点に集め、種類ごとに分別したり、大型トラックに積み替えたりして効率的に運搬します。
この一時的に置くという行為には、周辺環境への影響を考慮した厳しい施設基準が課せられます。

有りと無しで難易度はどう変わる?

結論からいうと、積替え保管ありの許可申請は、積替え保管なしに比べて難易度がかなり上がります。

➀施設(場所)の要件

積替え保管なしの場合は、運搬車両を停める駐車場があれば足ります。
しかし積替え保管なしの場合は、廃棄物を保管するための強固な土間コンクリートや囲い、掲示板、さらには汚水を流出しないための排水処理設備などが求められます。

➁都市計画法等の法的制約

どこでも保管場所にして良いわけではありません。
都市計画法や建築基準法により、その土地で産廃の保管ができるかどうかが厳格に決まっています。

・工業専用地域、工業地域、準工業地域であれば可能性が高い。
・市街化調整区域や居住系地域では、原則として許可が下りません。

➂事前協議の有無

横浜市や川崎市などの各自治体において、積替え保管ありを申請する場合、本申請の前に事前協議という手続きが必要になります。
これは、近隣住民への周知や関係各課との調整を行うプロセスで、これだけで半年から1年以上かかるケースも珍しくありません。一方積替え保管なしの場合は、事前協議がないケースが多く、審査期間も標準で2ヶ月程度です。

積替え保管ありを申請する際の注意点

事業展開の上で、積替え保管が必要な場合は、以下の3点に注意してください。

➀周辺環境への配慮

騒音、振動、悪臭対策は必須です。特に住宅が近い場合は、防音壁の設置や作業時間の制限などを求められることがあります。近隣住民の同意が許可の事実上の条件となる自治体も存在します。

➁経理的基礎(財務状況)

産廃業の許可全般にいえることですが、積替え保管施設を設置するとなると多額の投資が必要です。例えば、直近決算が債務超過であったり、赤字が続いている場合、追加で診断書の提出が求められたり、審査がより厳しくなる傾向にあります。

➂品目の限定

保管できる廃棄物の種類(品目)にも注意が必要です。例えば廃プラスチック類は保管できても、石綿含有産業廃棄物や水銀使用製品産業廃棄物などは、保管場所の構造によって制限がかかることが一般的です。

まとめ

初めて産廃業許可を取る方の多くは、まずは積替え保管なしからスタートされます。
積替え保管ありは、事業規模が拡大し、物流の効率化が必要になった段階で変更許可申請として検討するのが現実的なルートといえます。
神奈川県内(横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市を含む)での申請は、自治体ごとに独自のローカルルールが存在します。
少しでも不安のある場合は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所