建設現場において、クレーンは欠かせないものです。そのクレーン作業が建設業法のどの業種に該当するのでしょうか。
業種の判断を誤ると、最悪の場合、無許可業者とみなされたり、虚偽の経営事項審査につながったりするリスクがあります。
今回は、クレーン作業に関わる建設業許可の業種の考え方を、最新の指針に基づき解説します。
原則はとび・土工工事業
クレーンを用いて資材を運搬し、所定の場所に配置する作業の多くは、とび・土工工事業に該当します。
建設業許可の業種別区分において、とび・土工工事業の内容には以下のものが含まれます。
・足場の組立て、重量物の運搬配置
・鉄骨等の組立て
・工作物の解体
つまり、重量物をクレーンで吊り上げ、移動させ据え付けるという一連の動作は、基本的にはとび・土工工事の領域です。例えば、コンクリートパネルの吊り込みや、建設資材の荷揚げなどがこれに当たります。
機械器具設置工事業との境界線
最も判断が難しく、実務上トラブルになりやすいのが、機械器具設置工事業との区分です。
「機械をクレーンで設置するのだから、機械器具設置工事業ではないか?」と考えがちですが、実務上の解釈はより厳格です。
機械器具設置工事業に該当する場合
現場でバラバラのパーツを組立て、水平や垂直の調整を行う芯だしを行い、試運転を伴うような複合的なシステムとして設置が必要な場合です。プラント設備や大規模な自動ドア、立体駐車場などが該当します。
とび・土工工事業に該当する場合
工場で完成した製品を、クレーンで指定の場所に置いたり、アンカーボルトで固定したりする作業の場合は、たとえそれが機械であっても、とび・土工工事業と判断されるケースがほとんどです。
鋼構造物工事業との違い
鉄骨をクレーンで組み上げる作業は一見すると、とび・土工工事に見えますが、実は鋼構造物工事業との重複があります。
鋼構造物工事業
鉄骨の製作から現場での建方までを一貫して請け負う場合、または大規模な鉄骨加工を伴う場合。
とび・土工工事業
既に加工された鉄骨を、現場でクレーンを使って組み上げる作業を請け負う場合。
クレーン会社が建方のみを応援で行う場合はとび・土工工事業として請け負うのが一般的です。
オペレーター付きクレーンリースの落とし穴
ここで非常に重要なのが、クレーンリースか建設工事の請負かという区分です。
多くのクレーン会社は、オペレーター付きでクレーンを貸し出す形態をとっています。この際、以下の違いに注意してください。
①通常の賃貸借(リース)の場合
建設業許可は不要です。オペレーターが元請の指示の下で、機械を操作するのみである状態です。
②建設工事の請負となる場合
特定の揚重工事として、工程管理や安全管理などの一定の責任を持って作業を完結させる場合は建設工事の請負に該当します。この場合、500万円以上(税込)の請負契約であれば、とび・土工工事業の建設業許可が必須となります。
最近のコンプライアンス重視の流れは、実態がリースであっても、再下請負通知書などの安全書類の提出を求められることが増えています。その際、許可がないと不適切と判断されるリスクがあるため、クレーン作業をメインとする企業様にとって、とび・土工工事業の許可取得は必須といえます。
業種判断のチェックリスト
| 作業内容 | 該当する可能性が高い業種 |
| 建設資材の荷揚げ・配置 | とび・土工工事業 |
| プレハブの建方作業 | とび・土工工事業 |
| 看板や屋外広告物の設置 | 鋼構造物工事業(内容による) |
| プラント内の大型機械の組立設置 | 機械器具設置工事業 |
| 橋梁の架設 | 鋼構造物工事業 |
補足
金額基準
500万円(税込)未満の軽微な工事であれば許可は不要ですが、クレーン作業は大型案件に付随することが多いため、事実上許可が必要です。
営業所の技術者(専技)
クレーン作業の実務経験でとび・土工の技術者になれるか、資格(技術士や1級土木施工管理技士など)との兼ね合いを再確認しておくことが重要です。
まとめ
建設業許可は、一度取得すれば終わりではありません。実態に即した業種を選択し、正しく更新・維持していくことが、貴社の信用を守ることにつながります。
特にクレーン作業は、現場の安全に直結する重要な工程です。
業種の判断で迷われた場合は、当事務所へお気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」