不動産業と建設業は非常に親和性が高く、両方を許可の取得を検討される方も多くいらっしゃいます。その中でも、宅建業免許と建設業許可の取得を同時に取得する際、多くのメリットがありますが、特有の注意点も存在します。
今回は、両許可を取り扱う行政書士の視点から、同時申請の意義と、失敗しないためのポイントを解説します。

なぜ同時で取得することがメリットなのか?

宅建業と建設業を同時で持つことは、ビジネスモデルとして非常に強力といえます。

収益の最大化

土地を仕入れて、自社で建物を建て販売する。この一連の流れを内製化することで、中間マージンが発生せず、収益率を大幅に向上させることができます。

顧客へのワンストップサービス

土地探しから設計、施工までを一括して請け負うことで、顧客からの信頼を獲得しやすくなる傾向にあります。

リフォーム需要の取り込み

中古物件の仲介時、そのままリフォーム工事を受注できる体制があれば、仲介にリフォームと立て続けに受注に繋がります。

同時申請の3つの大きなメリット

行政手続きの観点からも、同時進行には合理的な理由があります。

➀書類収集の効率化

宅建業免許も建設業許可も、申請には身分証明書、登記されていないことの証明書、納税証明書など、膨大な公的書類が必要です。これらは発行から3ヶ月以内といった有効期限がありますが、同時に進めることで一度の収集で両方の申請に、同時に提出することが可能になり、手間と郵送代等のコストを削減できます。

➁営業所技術者(専技)・宅建士の兼務によるコスト削減

小規模な会社にとって最大のメリットは、人の兼務です。一定の要件を満たせば、一人の人間が建設業の営業所技術者(専技)または常勤役員等(経管)と宅建業の専任の宅地建物取引士を兼ねることが認められています。これにより、人件費を抑えつつ、最小人数での許可維持が可能になります。

➂事務所要件の同時クリア

両業種とも独立した事務所があることが絶対条件です。別々に申請すると、後から建設業の要件は満たすが、宅建業の事務所として独立性が足りないといった指摘を受け、改装が必要になるリスクがあります。最初から両方の基準を満たすレイアウトを設計することで、無駄な投資を防げます。

同時申請で注意するべき3つの落とし穴

メリットが多い反面、審査のハードルは上がります。特に以下の点には注意が必要です。

➀兼務の場所的制約

先ほど、兼務が可能と前述しましたが、これには厳格なルールがあります。それは、同一の法人または個人事業かつ同一の営業所で勤務していることです。例えば、本社の建設部門と支店の不動産部門で兼務するといったことは、物理的に専任性が確保できないため認められません。

➁資金的要件(財産的基礎)の確認

一般の建設業許可を取得するには、自己資本が500万円以上または500万円以上の資金調達能力を証明する必要があります。一方、宅建業も営業保証金の供託または保証協会への入会金等が必要です。両方をスタートさせるには、相応の手元資金を計画的に準備しておく必要があります。

➂審査期間のズレ

申請書を同時に出したとしても、許可が下りるタイミングは異なります。

・宅建業免許:約30日~40日
・建設業許可:約30日~50日

(いずれも知事免許。自治体により変動。)

また、宅建業は免許証が届いた後に保証協会への加入手続きを経て、ようやく営業が開始できます。建設業よりも実際に動けるようになるまで時間がかかる傾向があるため、事業開始スケジュールには余裕を持たせましょう。

スケジュール調整が肝

同時申請を成し遂げるための理想的な流れは以下の通りです。

➀要件確認

営業所技術者(専技)と宅建士、常勤役員等(経管)を兼ねる人物の資格や実務経験をダブルチェック。

➁事務所の選定・レイアウト

写真撮影が必要なため、両方の基準を網羅する。具体的には固定電話の設置、パーテーションの高さ、入口の形態などがあります。

➂書類作成と収集

共通書類をリストアップし、一気に取得。

➃申請

窓口での整合性を保つため、同じタイミングで提出または建設業を先に通す進め方もあります。

まとめ

宅建業免許と建設業許可のダブル取得は、会社の信頼性を高めます。しかし、どちらか一方の要件を落としてしまうといったミスが起こりやすいのも事実です。
両方の許可取得を検討されている方はぜひ当事務所へお気軽にご連絡ください。貴社の状況をヒアリングし、最短ルートでのダブル取得をサポートいたします。
グラス湘南行政書士事務所