駅前の特設コーナーで不動産販売の展示をしたい・・
商業施設の一角で期間限定のインフォメーションデスクを置きたい・・

・・この様な計画を立てたい不動産業者様もいらっしゃるかと思います。

その際、避けて通れないのが宅建業法第50条の規定です。特に、契約を締結せず、あくまで広告や案内のみという場所について、届出は必要なのか、看板はどうすればいいのか、という問題があります。
今回は、広告・案内のみを行う場所におけるルールとそこに掲げるべき標識(看板)について解説します。

50条2項の届出が不要となる条件

宅地建物取引業法第50条第2項の届出

宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法第50条第2項の規定により、次に掲げる場所で、宅地建物取引に係る契約の締結や契約の申込みの受付などを行おうとする場合、業務を開始する日の10日前までに(満10日を空けてください。実際は11日前までに届出をする必要があります。以下同じ。)届出をしなければなりません。

  1. 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの(特定の1つの物件しか扱えません。)
  2. 宅地建物取引業者が10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲を案内所を設置して行う場合の案内所
  3. 他の宅地建物取引業者が行う上記2の分譲の代理又は媒介を案内所を設置して行う場合の案内所
  4. 宅地建物取引業者が業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場合にあっては、これらの催しを実施する場所

宅建業法第50条第2項に基づく、案内所等の届出が必要になるのは、その場所で契約の締結または契約の申込みの受理を行う場所です。
したがって、以下のような行為を一切行わなず、広告・案内のみに徹する場所であれば、50条2項の届出は不要となります。

・売買契約書への署名・捺印
・買付証明書や申込書の受領
・手付金・申込証拠金の受領
・重要事項説明の実施

しかし、ここで注意が必要なのは、届出が不要だからといって、何も掲示しなくていいわけではないという点です。

届出は不要でも標識の掲示は義務

50条2項の届出が不要な場所であっても、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所であれば、宅建業法第50条第1項に基づき、標識を掲示する義務があります。
そして、この広告・案内のみの場所における標識には、通常の案内所とは異なる特殊な記載事項が求められます。

➀契約等を行わない旨の明示

その標識には、この場所においては、広告・案内のみを行い、契約行為などは一切行わないという旨をはっきりと表示しなければなりません。
これは、消費者がここでは契約ができない場所なのだ、と一目で理解できるようにするためです。

➁クーリングオフ制度の適用に関する表示

間違いやすいのが、宅建業法第37条の2のクーリングオフに関する表示です。

(事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等)

第37条の2 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主を除く。)は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。この場合において、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。

50条2項の届出をしていない場所は、宅建業法上の事務所等には該当しません。つまり、そこで申込みや契約が、万が一なされた場合、クーリングオフの対象となります。
そのため、掲示する標識には、この場所において契約等については、宅建業法第37条の2の規定によるクーリングオフ制度の適用があることを表示する必要があります。
ここでは契約しないからクーリングオフは関係ないのではなく、万が一の際にはクーリングオフが適用される場所であることを明示せよ、というのが法律のスタンスです。

取り扱える物件は特定の1物件に限られる

広告・案内のみを行う場所を、届出なしの案内所として運用する場合、非常に厳しい制約があります。それは、その場所で取り扱うことができる物件は、特定の1つの物件群(1つの免許番号で扱われる一団の宅地建物などに限られるという点です。
例えば、「〇〇マンション第2期」の案内のために特設ブースを設けるのは問題ありません。しかし、ついでに自社が扱っている他の物件も併せて紹介してしまうと、複数の不特定多数の物件情報を並べてしまうことになり、これだと話が変わってきます。

事務所とみなされるリスク

なぜ1つの物件に限られるのでしょうか。それは。不特定多数の物件を日常的に扱う場所については、実態として広告・案内所の域を超え、社会通念上、事務所と認識されるからです。
もし複数の物件を扱い、継続的に営業を行っていると判断された場合、そこは案内所ではなく従たる事務所(支店)とみなされます。
事務所とみなされた場合、以下の義務が発生します。

・従たる事務所としての変更届出
・専任の宅地建物取引士の設置(5名に1人以上の割合)
・営業保証金の供託(または保証協会への分担金の納付)

これらを怠って営業を続けることは、無届けでの事務所設置となってしまい、行政処分や罰則の対象となりますので注意が必要です。

行政書士からのアドバイス

広告・案内のみの場所を設置する際は、以下の3点を確認してください。

➀標識の文言チェック

契約を行わない旨とクーリングオフの適用が正しく記載されているか。

➁物件の限定

掲示・紹介する物件が特定の1物件に限定されているか。

➂業務の制限

契約を締結してしまっていないか。

まとめ

宅建業法は消費者を保護するための法律です。広告・案内のみの場所であっても、その運用を一歩間違えれば、免許そのものを危うくするリスクがあります。
この場所は届出が必要?
この標識の書き方で良いのか?
不安に思われたら、当事務所へご連絡ください。適切なアドバイスにより、適切な販売活動をサポートいたします。
グラス湘南行政書士事務所