建設業許可の取得を検討するにあたり、資格はないけれど、10年以上この仕事一筋でやってこられ、これなら、複数の業種で許可が取れると思われている方もいらっしゃるかと思われます。
結論からいうと、理論上は可能ですが、かなりハードルが高いのが実情です。
今回は、実務経験による複数の業種取得のルールと、なぜそれが難しいのか、そして神奈川県での申請における注意点を解説します。
実務経験10年で営業所の技術者(専技)になるということ
建設業許可を受けるための大きな壁の一つが営業所の技術者(専技)の設置です。この専技になるためには、大きく分けて2つのルートがあります。
・国家資格ルート:1級・2級建築施工管理技士などの資格を持っている。
・実務経験ルート:許可を取りたい業種について、10年以上の実務経験を証明する。
資格があれば、1つの資格で複数の業種をカバーできることもあります。しかし、実務経験ルートの場合、原則として1業種につき10年が必要になります。
10年+10年=20年の原則
ここが間違えやすいポイントですが、例えば、大工工事と内装仕上工事の両方で許可を取りたい場合、実務経験ルートで申請するなら、合計20年以上の実務経験を求められるのが基本です。
「いやいや、現場でずっと両方の作業を同時にやってきたんだよ!」というご意見もよく分かります。しかし、行政のルールでは経験期間の重複は認められません。
・NG例:2016年~2026年の10年間で、大工も内装仕上も同時に10年分としてカウントする。
・OK例:2006年~2016年(大工10年)+2016年~2026年(内装仕上10年)=計20年
つまり、一人が実務経験だけで2業種、3業種と増やそうとすると、20年、30年と果てしない歳月が必要になってしまうのです。
複数の業種が同時に取れる例外があるの?
例外というと少し語弊があるかもしれませんが、それが、指定学科の卒業と関連業種の緩和です。
①指定学科を卒業している場合
高校や大学で、その業種に関連する学科、例えば建築学科や土木工学科などを卒業していれば、10年という期間が短縮されます。
・高卒の場合:5年以上の実務経験
・大卒の場合:3年以上の実務経験
これなら、10数年のキャリアがあれば、2業種取得の現実味を帯びてきます。
②業種間の緩和措置
一部の関連深い業種間では、特定の経験があればもう一方の経験期間を免除・短縮できるルールが存在します。しかし、これは非常に限定的であり、神奈川県知事許可の審査においても非常に厳格にチェックされます。
実務経験10年の証明は大変?
期間の計算上に大変なのが、その10年をどのように証明するかです。神奈川県の場合、主に以下の書類を10年分揃える必要があります。
契約書、注文書、または請求書の控えと入金が確認できる通帳
原則、1年につき、期間が連続していることが分かる件数(目安としては1年に1件)の掲示が求められます。
厚生年金加入記録(被保険者記録照会回答票)
実務経験期間の会社に在籍していたことを公的に証明しなければなりません。
神奈川県での申請をスムーズに進めるには?
神奈川県の建設業許可審査は、全国的に見ても標準的かつ適正といえますが、裏を返せばあやふやな証明は一切認めないという厳格さがあります。
特に、実務経験で複数業種を狙う場合、行政庁からは「この期間、工期が重なりすぎて不自然ではないか?」といった指摘が入ることも珍しくありません。
まとめ
10年の実務経験で複数業種は、不可能ではありません。しかし、そのため膨大な時間と労力を使い、証明不備で跳ね返されてしまうのは、あまりにもったいないといえます。
建設業許可は、看板を掲げて事業をするための大切な武器といえます。
実務経験で少しでも疑問がありましたら、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」