店舗の開店やリニューアルに伴い、店頭に看板を設置したり、外壁塗装や改修工事のために足場を組立てたりする際、道路にこれらを置いても大丈夫なのかと疑問に思われたことはありませんか。
道路は本来、人や車の通行のためのものです。しかし、社会経済活動を行う上でやむを得ない場合、一定のルールと手続きのもとで道路を継続して使用することが認められています。これが道路占用許可です。
看板や足場のような工作物は、適切な許可を取得しなければ違法となってしまいます。
今回は、道路占用許可の基本的な条件や、看板・足場を設置する際の具体的なルール、申請時の注意点を解説します。
道路占用許可とは?
道路に関する許可には、道路占用許可と道路使用許可の2つの許可が存在します。
実務上も混同されやすいですが、それぞれ目的や根拠法令、申請先が異なります。
道路占用許可は道路に一定の工作物や物件を継続して設置し、道路を独占的に使用することに対する許可です。一方道路使用許可は、道路の本来の用途以外の目的で、道路に人が集まったり、作業をしたりして交通に影響を及ぼす行為に対する許可です。
看板や足場設置時の関係性
足場を設置する場合
道路上に足場を組み、継続してその場所を占有するため道路占用許可が必要となります。同時に、その場所で作業を行ったり資材を置いたりして交通を阻害するため、警察署への道路使用許可もセットで必要になります。
突き出し看板などを設置する場合
道路の上空に看板を突き出して継続設置するため道路占用許可が基本となります。設置場所や大きさにより異なりますが、多くの場合両方の許可や自主規制の確認が求められます。
道路占用許可が認められる条件と対象物件
道路は原則として自由に工作物を置くことができないため、占用が認められる物件や基準は法律および各道路管理者の条例・ガイドラインで厳しく制限されています。
占用できる物件の法的根拠
道路法第32条および道路法施行令第7条等により、道路に設けることができる物件は限定列挙されています。看板や足場、工事用の仮囲いなどは、特定の要件を満たす場合に限り占用が許可されます。
主な許可基準
道路占用許可を受けるためには、主に以下の条件をクリアする必要があります。
条件1:他の方法に代えられないこと
例えば、敷地内に余裕があるにもかかわらず、あえて道路上に看板や足場を出すことは原則として認められません。敷地外に設置せざるを得ない合理的な理由が必要です。
条件2:道路の構造や交通に支障を及ぼさないこと
通行者の安全や視界を妨げないこと、緊急車両の通行を阻害しないことが前提となります。
条件3:安全基準・構造基準に適合していること
耐久性があり、風水害や地震で容易に倒壊・落下しない構造であることが求められます。
看板設置時のルールと注意点
店舗の集客に欠かせない看板ですが、道路上空に突き出す看板などは通行人に直接危害を加えるリスクがあるため、設置にあたっては厳しい基準が設けられています。
➀高さや出幅の基準
歩道上や車道上において、通行人の安全を確保するため最低限の高さが定められています。
一般的に、歩道上の突き出し看板の下端は路面から2.5m以上(または3.5m以上など自治体基準あり)の高さが必要となります。
また、道路にどれくらい突き出してよいかも厳しく制限されます。歩道がない道路や狭い道路では、そもそも占用が許可されないケースも多いです。
➁維持管理と安全性
看板の老朽化による落下事故を防ぐため、定期的な点検が義務付けられています。
所有者の管理責任が問われるため、万が一の落下事故に備えて賠償責任保険等への加入を推奨されるケースが一般的です。
足場設置時のルールと注意点
外壁塗装やリフォーム工事などで道路上に足場を組む場合、工事の安全性と歩行者の安全確保の両立が求められます。
最小限の範囲と期間
足場の占用は、あくまで工事期間中の一時的なものです。必要最小限の期間、最小限の幅で設置しなければなりません。
安全対策の義務付け
足場の組み立て・解体時や工事車両の出入りにより交通に著しい影響が出るため、適切な交通誘導員の配置が求められます。
また、歩行者が安全に通行できるよう、足場の足元に防護柵を設置したり、頭上の落下物を防ぐための養生を施したりする条件が付されます。
夜間でも足場の存在が車両運転者や歩行者から明確に認識できるよう、赤色灯や反射材などを取り付けることが条件とされる場合があります。
まとめ
道路占用許可は、私たちの生活のインフラである道路を工事などのために使用する手続きです。
・看板や足場を道路上に設置・架設する場合は道路占用許可が必須であること。
・足場の場合は警察署の道路使用許可もセットで必要になること。
・高さ、出幅、安全確保のための厳しい条件・基準をクリアしなければならないこと。
これらを考慮せずに設置してしまうと、道路法違反となり罰則の対象となるだけではなく、事故が発生した際に多大な社会的・法的責任を問われることになります。
看板の設置や大規模な改修工事に伴う足場架設をご検討の際は、基準の確認や煩雑な図面作成、行政との事前協議が必要となります。安全かつスムーズに事業や工事を進めるためにも、当事務所へお気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」