土地開発や新築戸建の建築、大規模なリフォーム工事などにおいて、工事用車両の出入り口の確保が必要になります。
現地への車両の出入りをスムーズにするため、前面道路に足場や仮囲いを設置したり、歩道切り下げを行ったりするケースは少なくありません。
そして道路占用許可および道路使用許可の取得が必要になります。
もし無許可のまま工事を進めてしまうと、法令違反に問われるだけでなく、工事の差し止めや施主、近隣住民とのトラブルに発展する恐れがあります。
今回は、神奈川県内の実務を踏まえ、不動産業者が押さえておくべき道路占用許可・道路使用許可の基本的な仕組みから、申請の進め方、許可を取得するまでの流れを解説します。
不動産業者が知っておくべき道路占用のルールと注意点
不動産仲介や開発の初期段階で調査すべきポイントがあります。
道路の種別(管理者)の特定
前面道路が国道か県道か市道のどれにあたるかによって、申請先や審査基準、必要書類が異なります。
例えば神奈川県内の県道であれば、管轄の土木事務所が窓口となります。まずは管轄行政庁の窓口で、道路種別の確認を行いましょう。
占用物件の法的基準
道路法に基づき、道路上に設置できる物件や構造物には細かい技術的基準が定められています。例えば、縁石の切り下げ工事を行う場合、歩行者や車椅子の通行安全性、雨水の排水勾配、既存の標識やガードレールとの干渉などをクリアしなければなりません。計画段階から建築士や施工会社と綿密な打ち合わせが不可欠です。
昨今のデジタル化の波
近年、行政手続きのデジタル化が進んでおり、神奈川県内を含む多くの自治体や警察署において、マイナポータル等を活用したオンライン申請システムの導入、拡充が進んでいます。紙の図面と対面での協議が主流だった従来の手続きに比べ、事前に管轄窓口の電子受付システムや運用ルールを確認しておくことが、審査期間の短縮につながります。
道路占用許可・道路使用許可の具体的な進め方
どのようなスケジュールと手順で進めるべきか、具体的な流れを挙げます。
ステップ1:事前調査と敷地計画の確認
対象物件の前面道路の幅員、道路管理者、交通量を確認します。工事車両が出入りする際、どの程度の範囲で縁石を切り下げる必要があるか、あるいは仮設足場が道路にはみ出さないかを図面上で精査します。
ステップ2:道路管理者との事前協議
いきなり申請書類を持っていくのはよろしくありません。事前に道路管理者へ連絡してから図面を持参して協議(事前相談)を行います。
その際、この規模の車両が出入りするため、このような切り下げと仮囲いをしたい旨を伝え、基準を満たしているか、追加の条件がないかを確認します。
ステップ3:書類の作成と収集
事前協議後に正式な申請書類を作成します。
主な必要書類(一般的な例)
・道路占用許可申請書
・位置図(住宅地図など)
・平面図(占用場所、工作物の寸法を記載)
・断面図・構造図
・現況写真(道路状況がわかるもの)
・利害関係人の同意書(必要に応じて)
・法人の場合は登記簿謄本など
ステップ4:道路占用許可申請の提出と許可証の受領
道路管理者へ申請書を提出します。審査には通常、2週間〜1ヶ月程度の期間がかかることが多いため、着工日から逆算して余裕を持ったスケジュールを組む必要があります。許可が下りると道路占用許可証が交付され、所定の占用料を納付します。
ステップ5:警察署への道路使用許可申請
道路占用許可またはその見通しをベースにして、管轄警察署へ道路使用許可申請書を提出します。警察署では交通安全上の支障がないかが審査され、道路交通法に基づく許可証が交付されます。こちらも数日〜2週間程度の審査期間が必要です。
トラブルを防ぐための注意点
道路占用・使用の許可手続きにおいて、不動産業者が気をつけるべき実務的な注意点をいくつか挙げます。
スケジュールに余裕を持つ
行政の審査期間に加え、事前協議の時間を考慮すると、工事着工の1ヶ月半〜2ヶ月前には動き始めるのが理想です。スケジュール遅延はそのまま建築コストや販売計画の狂いに直結します。
近隣住民への配慮と事前の説明
工事用車両の出入り口ができることや、一時的な道路封鎖・騒音は、近隣住民とのトラブルの種になりやすいです。法令上の許可を取ることは大前提ですが、着工前に施工会社と共に近隣への挨拶回りを行い、理解を得ておくことが円滑なプロジェクト進行の秘訣です。
無許可工事のリスクを認識する
無許可で道路を占用したり工事を行ったりした場合、道路法違反として工事の中止命令や罰則の対象となるだけでなく、万が一事故が起きた際の損害賠償責任において非常に不利になります。コンプライアンスの徹底は、不動産業者としての信用を守る防壁となります。
まとめ
工事用車両の出入り口設置に伴う道路占用許可および道路使用許可は、関係機関との緻密な事前協議と、正確な図面作成が求められる専門性の高い手続きです。
不動産業者の皆様本業である物件の仕入れ・企画・販売に集中しつつ、こうした法的手続きを安全かつ速やかに進めるためには、行政手続きの専門家である我々行政書士との連携も有効な選択肢の一つです。
複雑な法的要件や役所との折衝にお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。確実な許認可の取得を通じて、お客様の円滑な不動産事業をしっかりとサポートいたします。
「グラス湘南行政書士事務所」