建設業の29業種は、非常に細かく分類されており、その中でも板金工事は、他の業種との境界線が分かりにくい業種の一つといえます。一見すると金属を使っていれば板金工事と思われがちですが、実は屋根工事や内装仕上工事などと混同して申請してしまうと、実務経験として認められないといったリスクもあります。
今回は、板金工事の定義から具体的な例、そして間違えやすい他の専門工事との違いについて解説します。
建設業許可における板金工事の定義とは?
国土交通省のガイドラインによると、板金工事は以下のように定義されています。
金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属薄板等を取付ける工事
ここでのポイントは、金属薄板という言葉です。一般的に、鋼板、ステンレス板、銅板などの薄い金属の板を切断したり、折ったり、曲げたりして加工し、建物に取付ける工事が該当します。
具体的な工事例
建築板金工事
住宅の外壁に金属サイディングを張る、あるいは金属製の庇を設置する工事
水切り工事
窓枠や土台部分に雨水の侵入を防ぐ金属板を取付ける工事。
雨どい工事
金属製の雨どいを加工・設置する工事
ダクト製作据付工事
金属薄板を加工して空調用や排気用のダクトを作り、取付ける工事。ただし、管工事との区分には注意が必要です。
看板取付工事
金属板を用いた看板の製作・設置。
他の専門工事との境界線
板金工事を理解する上で最も重要なのが、他業種との混同を避けることです。特に間違えやすい4つの業種と比較してみましょう。
①屋根工事との違い
・板金工事:金属製の板を加工して屋根を拭く場合(金属製折板屋根など)。
・屋根工事:瓦、スレート、金属製のものを含め、屋根をふく工事全般を指します。
実務上、金属屋根の施工は板金工事でも屋根工事でもどちらの許可でも請け負うことが可能です。しかし、申請の際の実務経験としてカウントする場合、屋根工事の許可で申請するのかを明確に分ける必要があります。どちらの許可を取得するべきかは、その会社が板金加工を主体としてしるか、それとも屋根の施工全般を主体としているかで判断します。
②鋼構造物工事との違い
どちらも金属を扱いますが、決定的な違いは金属の厚みと目的にあります。
・板金工事:主に薄板を使い、仕上げや防水、装飾を目的とします。
・鋼構造物工事:H鋼や柱など、厚みのある鋼材を使い、建物の骨組みを作る工事です。
③内装仕上工事との違い
金属製の壁在や天井材を使用する場合、どちらに該当するかが問題となります。
・板金工事:外壁への金属板の取付など。
・内装仕上工事:建物内部の金属製インテリアの設置や、金属製天井の施工。
内部の装飾・仕上げという側面が強ければ内装仕上工事に分類されるケースが多いです。
④管工事との違い
管工事などのダクト工事は特殊な位置づけといえます。
・板金工事:金属板を加工してダクトそのものを作る工程に重点がある場合。
・管工事:空調設備や給排水設備の一部として、ダクトを配置し、システムとして機能させる工事。
多くの場合、空調ダクトの設置工事一式は管工事として扱われることが一般的ですが、製作のみを専門に行う場合は板金工事となることがあります。
板金工事の許可を取得する際の注意点
実務経験の証明書類(注文書・請求書)
板金工事として実務経験を証明する場合、注文書や請求書の品名欄に板金加工一式や金属サイディング外壁工事など、一目で板金工事だと分かる記載が必要です。
例えば、〇〇邸改修工事としか書かれていない場合、板金工事であることを立証するために、図面や内訳書の提示を求められることがあり、審査が難航する原因となります。
営業所技術者(専技)の資格
板金工事の営業所の技術者(専技)になれる代表的な資格は以下の通りです。
・1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)
・技能検定(建築板金、工場板金、板金)
資格がない場合は、10年以上の実務経験が必要ですが、前述の通りその工事が本当に板金工事だったかの精査が非常に厳しくなっています。
まとめ
板金工事は、建物の寿命を左右する雨仕舞や美観を司る重要な専門工事といえます。
しかし、その範囲が屋根工事や内装工事と重なっているため、どの許可を持っておくのが、自社の将来にとって最も良いのかを戦略的に考える必要があります。
例えば、将来的に公共工事への入札を考えている場合、受注したい工事の区分が板金で出されることが多いのか、あるいは屋根なのかを把握しておくことが不可欠です。
建設業許可は、取ってからその後、いかにして維持していくことの方が重要です。自社の実態に合わない業種で許可を取得してしまうと、いざ大きな工事を請け負う際に、請負金額の制限に抵触したり、経営事項審査で思うような点数が出なかったりといった状況に陥る可能性があります。
許可業種選定に少しでも迷われた方は、ぜひ当事務所へご相談ください。
貴社の工事実績を精査し、最適な申請をご提案します。
「グラス湘南行政書士事務所」