建設業許可取得には、非常に多くの要件と書類が必要です。そのなかに、「所属建設業者団体」という項目があり、どのように記載するべきか、迷われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、この「所属建設業者団体」について、その意味合いと、記載の必要性や主な団体などを解説します。
「所属建設業者団体」とは?
この「所属建設業者団体」とは、文字通り申請者(会社や個人事業主)が、所属している建設業者による業界団体を指します。
この項目は、建設業許可申請書のなかでも、添付書類の一つとして提出を求められる、「誓約書」や「略歴書」などに、記載する付帯情報であることが多いです。
具体的な様式や書類提出は、申請先の管轄許可行政庁によって、若干の違いがありますが、概ね「営業所の所在地」や「主たる事務所」などの基本情報と合わせて、記載する欄が設けられています。
なぜこの情報を提出する必要があるの?
行政がこの情報を求める主な理由を以下に挙げます。
1.業界の状況把握と連携のため
行政庁が建設業界全体の動向を把握したり、重要な通達や情報提供を行う際に、主要な業界団体を通じて、効率的に周知を図るためです。
2.建設業者の信頼性の補完
特定の業界団体に所属していることは、その団体が定める一定のルールや倫理規範を遵守していることの証となり、許可行政庁に対する信頼性を、補完する要素となります。
3.統計資料作成のため
許可を受けた建設業者が、どのような団体に属しているのか、統計を取ることで、業界の実態をより正確に把握するのに役立ちます。
「所属建設業者団体」への加入は建設業許可の要件なの?
「所属建設業者」への加入は、建設業許可の要件ではありません。
未加入であっても、建設業許可申請に不利になるようなことはありません。この項目は、あくまで任意の情報提供に過ぎないということになります。
申請書への記載方法は?
団体に所属している場合
実際にいずれかの建設業者団体に所属している場合は、その正式名称を記載します。
・一般社団法人日本建設業連合会
・一般社団法人全国建設業協会
・各都道府県の建設業協会
・各専門工事業の専門工事業団体(日本電設工業協会など)
複数の団体に所属している場合は、主となる団体を一つ、あるいは全て記載しても構いませんが、管轄行政庁の申請書の様式に従い、求められている個所に正確に記入しましょう。
団体に所属していない場合
前述のとおり、所属は必須ではありません。団体に所属していない場合は、通常「なし」あるいは「未加入」といったように記載します。
この記載をもって許可が下りないということはありません。正直に「なし」と記載すれば問題ありません。
許可要件ではないとはいえ、「所属建設業者団体」には加入した方が良いの?
これから建設業の経営を本格化させるにあたり、所属建設業者団体への所属を検討されているのであれば、そのメリットと主な団体を知っておくのは有益といえます。
所属のメリット
・情報収集
法改正や業界の最新動向に関する研修、セミナーに参加できます
・経営支援
経営や技術に関する相談、指導、支援を受けられる場合があります
・信用力の向上
公共工事の入札参加資格審査などで、加点対象となる場合があります
・ネットワークの構築
他の建設業者との交流を通じて、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があります
主な団体の一例
建設業の団体は、その活動範囲や業種によって多岐に渡ります。
一般社団法人日本建設業連合会
全国的な大手総合建設業者(ゼネコン)が多い。
一般社団法人全国建設業協会
地方建設業協会を会員とする全国組織。中小の建設業者の意見を行政に要請し、反映されるのが主な活動。
都道府県建設業協会
各都道府県の建設業者が加入する地域に密着した団体。地域ごとの情報提供や行政との連携が主。
専門工事業団体
特定の専門工事業に特化した団体です。
・日本電設工業協会
・日本建設躯体工事業団体連合会
・日本塗装工業会
・日本左官業組合連合会
これらはほんの一部です。皆様の業種や活動地域に応じて、最適な団体を調べてみることをおすすめします。
まとめ
建設業許可申請における、「所属建設業者団体」の項目は、申請者の情報提供の一環として、添付資料とされています。この他にも、経営業務の管理責任者や専任技術者の要件、財産的基礎など、クリアすべき重要な要件は数多くあります。
当事務所では、これらの複雑な要件確認から書類作成、行政との調整まで、建設業許可申請を代行します。お気軽にご連絡ください。