建設業を営む皆様にとって、建設業許可や経営事項審査(経審)の申請手続きは、事業の継続には不可欠といえます。しかし、書類作成や許可行政庁への提出に、時間と労力を要するものです。日々の業務に尽力されている皆様にとって、これらの手続きも併行して行うことは、容易ではありません。
その煩雑な手続きを効率化するために、国土交通省が開発・運用を開始したのが、建設業許可・経営事項審査電子申請システムです。
(1) 建設業DXの推進!JCIPとは何か?
JCIPとは、ざっくりいうと、全国の建設業許可や経営事項審査に関する申請・届出をインターネット上で完結できるようにしたシステムです。
令和5年1月から運用が開始され、建設業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)として、大きく推進する取り組みとして注目されています。
※一部の行政庁では、運用開始時期が異なっていたり、電子申請に対応していない場合がありますので、ご注意ください。
(2) 導入のメリットとは?
JCIPを利用することで、申請者は以下のメリットが挙げられます。
メリット1:時間短縮などの効率化
会社や自宅のパソコンから直接、申請書類の作成、提出が可能となり、窓口へ行く時間を短縮できます。
メリット2:書類作成の支援
システムによるエラーチェックや自動計算機能があり、書類の作成漏れや計算ミスを、防ぐことができます。また、過去の申請データの再利用も可能です。
メリット3:添付書類の削減
法務省(登記事項証明書)や、国税庁(納税情報)などの外部データと連携するため、一部の書類取得、添付が不要になります。
メリット4:ペーパレス化
申請書類の印刷や郵送が不要となり、紙の使用量の削減に繋がります。
メリット5:審査状況の確認
申請後の審査状況をオンラインで、リアルタイムに確認ができます。
メリット6:電子納付の利用
申請手数料をオンライン決済(電子納付)できるため、証紙などを準備する手間がなくなります。
(3) JCIPで申請・作成できる手続きと書類
JCIPの最大の魅力は、建設業許可と経営事項審査に関する主要な手続きのほとんどを、電子化している点が挙げられます。具体的に、JCIPで電子申請が可能な手続きと、システム上で作成できる主な書類をみていきましょう。
建設業許可に関する手続き
許可申請:新規、更新、業種追加、許可換え新規、般特新規など
変更等の届出:役員や所在地、営業所の名称など、許可申請内容に変更があった場合の届出
決算変更届:毎事業年度終了後に、提出が義務付けられている事業年度終了報告書(決算変更届)
廃業の届出:建設業を廃業した場合の届出
経営事項審査(経審)に関する手続き
経営規模等評価申請:経審の構成要素のうち、経営状況、技術力などを評価するための申請
総合評定値請求:最終的な入札参加資格の指標となるP点(総合評定値)を算出するための請求
(4) JCIPで作成できる主な書類
JCIPは申請手続きそのものだけではなく、提出が必要な各種書類(法定様式)の作成機能も備えています。
申請書・届出書:建設業許可申請書、変更届出書(決算変更届含む)、廃業届出書
役員・技術者関連:常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書、営業所技術者等証明書、実務経験証明書
財務諸表:貸借対照表、損益計算書、完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書など
工事経歴:工事経歴書
経審関連:経営規模等評価申請書、総合評定値請求書
上記はあくまで一例です。申請内容に応じて、必要な添付書類は異なりますが、JCIP上で入力やPDFのアップロードを通じて、これらの書類をデジタルで、作成・提出することができます。
(5) 当事務所(行政書士)によるサポートの重要性
許可要件の判断
経営業務の管理責任者や専任技術者の適格性、財産的基礎などの複雑な要件可否を判断し、適切な書類作成を支援します。
申請書類の正確性
特に工事経歴書や財務諸表などの、事実関係の正確さが求められる書類について、専門的な視点からチェックすることで、差し戻しのリスクを最小限に抑えます。
外部連携の最適化
JCIPのデータ連携機能を最大限活かしつつ、必要な添付書類の準備や、許可行政庁ごとの運用ルールに対応します。
JCIPの登場により、書類作成や提出の負担は、軽減されました。しかし、電子申請になったからといって、建設業許可要件の厳格さや、決算内容・添付書類の正確性が変わるわけではありません。JCIPは効率的なツールですが、許可取得という目標には、建設業法や関連法令に関する知識が必要不可欠といえます。
当事務所は、JCIPを効率的に利用しつつ、複雑な要件整理や書類作成を代行することで、建設業者の皆様が事業に専念できる環境づくりをサポート致します。お気軽にご相談ください。