宅地建物取引業(宅建業)を廃業する又は主たる事務所を移転する際、営業保証金の取り戻し手続きがあります。
1,000万円の供託金がいつ戻ってくるのか・・?
このように不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、神奈川県で宅建業免許を取扱う行政書士が営業保証金の取り戻し手続きの流れと注意点を解説します。
営業保証金が戻るタイミングとは?
営業保証金が返還されるのは、還付請求権の公告期間が終了した後です。
これは宅建業法第30条の規定により、法務局へ債権の申出期間として公告を6ヶ月以上行う必要があります。
この期間が設けられている理由は、廃業する宅建業者の過去の取引によって生じた債務を、供託金から確実に回収する機会を取引相手に与えるためです。
この期間に還付の申出がなければ、返還の手続きが可能になります。つまり、廃業等の届出をしてから最短でも約半年から7ヶ月は資金が戻ってこないため、資金繰りを計画する際は、これを考慮したスケジュール調整が必要です。
6ヶ月の公告が必要なの?
前述でも触れましたが、宅建業者はその業務に関して生じた取引上の債務を担保するため、営業保証金を供託しています。
万が一、宅建業者が廃業した後に、以前の取引相手から未払いがあったり、損害賠償が発生しているといったトラブルが発覚した場合、その債権者は供託されたお金から弁済を受ける権利があります。この隠れた債権者がいないかどうかを確認するための期間が、宅建業法で定められた6ヶ月間の公告期間なのです。
取り戻し手続きのステップ
手続きの全体像は以下の通りです。
ステップ1:廃業等の届出
まず、行政庁へ宅建業の廃業届を提出します。これにより、宅建業者としての地位が消滅します。
廃業後、供託所へ取り戻し手続きに行く際に、この廃業届の受理証や通知書が必要となります。
ステップ2:官報への公告
官報販売所を通じて、債権者に対して6ヶ月以内に申し出をしてください、という旨の公告を掲載します。この掲載費用は数万円ほどかかります。
ステップ3:法務局への還付請求権の消滅に関する証明書の交付申請
公告期間の終了後、法務局へ還付請求権の申出がなかったことを証明する書類を申請します。
ステップ4:営業保証金取り戻し請求
管轄の法務局にて、正式に取り戻しの申請を行います。ここで受理されれば、指定の口座へ1,000万円が振り込まれます。
よくあるトラブルと注意点
➀事務所移転の場合の取戻し
例えば、神奈川県から他の都道府県へ事務所を移転し、新たにその地で免許取得し直す場合、営業保証金の二重供託を防ぐために保管替えの手続きを行うのが一般的です。全額取り戻してから再度供託するよりも、保管替えを利用する方が資金繰りの面でも有利です。
➁支店を廃止する場合
主たる事務所は継続し、支店のみを廃止する場合、その支店分として供託していた500万円の取戻しが可能です。これも同様に6ヶ月の公告が必要です。
➂債権者からの申出があった場合
公告期間中に元顧客などから損害賠償を求めるといった申出があった場合、その債務が解決するまで供託金は戻りません。過去の取引において、未解決のトラブルや紛争中の案件がないかを必ず事前に確認してください。
まとめ
営業保証金の取戻しは、すぐに戻るものではありません。
官報公告の6ヶ月という期間が、手続きの全体のカギを握っています。
廃業や移転のタイミングで資金の運用計画を立てている場合は、この半年間の空白期間を十分に考慮してください。また、官報の手続きや法務局への提出書類は専門的な知識を要します。不備があるとさらに期間が延びる可能性があるため、ご不安な方は、宅建業法に精通した行政書士へ相談することをお勧めします。
当事務所では、神奈川県内での宅建業廃業や免許申請に関するサポートを行っております。複雑な手続きを円滑に進めたい経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」