産業廃棄物の運搬において、重要なのが運搬車の表示と書面の備え付け(携帯義務)です。これらは廃棄物処理法で厳格に定められており、違反すれば罰則はもちろん、許可の取消し事由になってしまいます。
しかし、このルールは排出事業者が自ら運搬する場合(自社運搬)と許可業者が委託を受けて運搬する場合(収集運搬業)で、必要な内容が微妙に異なることをご存知でしょうか。
今回は、産廃手続きを取り扱う行政書士が、両者の違いを解説します。

運搬車の表示義務(車体のペイント・マグネット)

自社運搬でも収集運搬でも、産業廃棄物を運搬する車両には一定の表示が義務付けられています。これが表示義務です。

表示が必要な場所と方法

・場所:車体の両側面(左右両方です)。
・方法:鮮明に、かつ識別しやすい色で表示します。
・手段:直接ペイントするか、マグネットシート等(走行中に剥がれないもの)でも可能です。

表示するべき項目

以下の3点を表示する必要があります。

表示項目内容文字サイズ(目安)
産業廃棄物収集運搬車産業廃棄物収集運搬車と明記1文字3cm以上
氏名または名称個人の場合は氏名、法人の場合は名称1文字3cm以上
許可番号許可業者の場合のみ必須1文字3cm以上(下7桁でOK)

排出事業者が自社運搬を行う場合は、許可番号を持っていないため、名称と産業廃棄物収集運搬車の2点のみで構いません。

排出事業者が自社運搬をする場合の携帯書面

排出事業者が自ら運搬する場合でも、以下の書面を車内に備え付けておく必要があります。

備え付けが必要な項目

自社運搬の場合、特定の様式(フォーマット)は決まっていませんが、以下の内容を記載した書面を携帯しなければなりません。

➀氏名または名称および住所
➁運搬する産業廃棄物の種類と数量
➂運搬を開始した日時
➃積載した場所(事業場の名称・所在地)
⑤運搬先の場所(事業場の名称・所在地)
⑥連絡先

なぜマニフェストではないのか?

マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、他人に運搬を委託する場合に発行するものです。自社で運搬し、自社で処理施設へ持ち込む場合はマニフェストの発行義務はありません。その代わりに、上記の自社運搬用書面が必要になるのです。

許可業者が収集運搬をする場合の携帯書面

許可業者が他社から委託を受けて運搬する場合は、さらに厳格な書類管理が求められます。

➀産業廃棄物収集運搬業許可証の写し

運搬する区域を管轄する都道府県知事(または政令市長)の許可証のコピーを必ず携帯してください。

・有効期限が切れていないか。
・運搬する廃棄物の種類が許可に含まれているか。

現場で警察や行政のチェックが入った際、確認されるポイントです。

➁産業廃棄物管理票(マニフェスト)

委託を受けて運搬する場合は、排出事業者から交付されたマニフェストを携行しなければなりません。

・排出事業者の印鑑があるか。
・種類や数量、行き先が正しいか。

電子マニフェストを利用している場合の特例

最近では、紙のマニフェストに代わり、電子マニフェストを利用するケースが増えています。この場合、紙のマニフェストを物理的に持ち歩くことはできません。代わりに以下のいずれかを用意する必要があります。

・情報処理センターから通知された情報が確認できる端末(タブレット・スマホ等)
・電子マニフェスト受渡確認票の写し

これに加えて、電子マニフェスト利用時は運搬車への加入証(写し)の携帯もセットで必要になることが多いので、用意しておきましょう。

違反してしまったら?(罰則とリスク)

書類を怠った場合、以下のようなリスクがあります。

➀行政指導・罰則

表示義務違反や書面備付義務違反は、廃棄物処理法違反となります。

➁許可への影響

許可業者の場合、こうした細かな違反の積み重ねが、将来の更新申請や事業範囲変更申請の際に、マイナスに働く可能性があります。最悪の場合、業務停止命令を受けるリスクも否定できません。

➂排出事業者のコンプライアンス低下

自社運搬をしている排出事業者の場合、不適切な運搬が発覚すると、企業としての信頼性に大きな影響があります。

まとめ

産廃運搬のルールは、自社運搬か委託運搬かで、必要な準備が異なります。

排出事業者

許可番号が不要とはいえ、車体に何も書かずに運ぶのはNGです。自社運搬専用の書面をダッシュボードに常備しましょう。

収集運搬業者

許可証の写しは最新のものが必要です。複数の自治体の許可を持っている場合、積込み地と荷降ろし地、両方の許可証があるか、チェックしてみてください。
少しでも不安に感じられましたら、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」