毎年1回提出義務のある決算変更届ですが、その中に工事経歴書(様式第十四号)があります。
どの工事をどこまで記載するべきか・・
消費税の扱いはどうするのか・・
請負代金の端数はどう処理するのか・・
・・このような疑問は尽きません。
建設業法や各種ガイドラインのデジタル化が進む昨今においても、工事経歴書の記載ミスや漏れは、許可更新時に行政庁からの修正指示を招く原因となりますので注意が必要です。
今回は、神奈川県の行政書士が工事経歴書における請負代金の正しい書き方や消費税の計算ルールなど、記載の重要ポイントについて解説します。
建設業決算変更届の工事経歴書とは?
工事経歴書(様式第十四号)は、毎決算終了後4ヶ月以内に提出する決算変更届において、その事業年度に施工した主要な建設工事の実績を証明するための重要な書類です。
許可要件の確認
営業所技術者(専任技術者)の在籍状況や一般・特定の区分に応じた施工実績の裏付けとなります。
経営事項審査(経審)との連動
経審を受ける場合、工事経歴書は完成工事高の根拠となるため、数字の整合性が厳しくチェックされます。
法令遵守の証明
一括下請負の禁止違反や、無許可営業への下請などの建設業法違反がないかを透明化する役割を持ちます。
消費税の取扱いと金額基準
工事経歴書を記載する上で、消費税と金額の単位について整理します。
➀消費税は税込か税抜か?
結論からいうと、工事経歴書の請負金額は原則として消費税込みの金額を記載します。
税込表示
経理方式が税抜方式であっても、建設業法の許可申請や届出書類上の請負金額は、消費税及び地方消費税の額を含めた総額で記載するのが標準ルールです。
端数処理
金額の端数については、許可行政庁の様式や手引きに従います。神奈川県の場合は千円単位で記載します。
➁全ての工事を記載するの?
1年間に施工した全ての工事を記載する必要はありません。会社の規模や売上高に応じて、以下の優先順位で主要な工事をピックアップして記載します。
・完成工事高の大きい順に上位から記載していくのが基本です。
・全体の売上高のおおむね6割~7割以上をカバーできるように記載します。
・件数が多すぎる場合、小規模な工事はその他〇〇工事一式(〇件)として合算できるケースもありますが、神奈川県をはじめとする各行政庁の手引きや、直近の審査基準を確認することが不可欠です。
工事経歴書作成の5つのポイント
➀工事名は具体的かつ正確に
建築一式工事、内装工事一式など、曖昧すぎる名称のみの記載は避けましょう。
どのような工事内容であるかが、一目でわかるように具体的に記載します。
➁発注者は元請・下請の別と正式名称を記載
発注者欄には、元請工事であれば施主の名称、下請工事であれば一次下請けの元請業者名を正確に記載します。ただし、個人名の場合はプライバシーに配慮しつつ規定の形式で記載する必要があります。
株式会社や有限会社などの法人格を省略せずに記入します。
施工場所も都道府県名から省略せずに正確に記載することが求められます。
➂請負代金の額と元請・下請の区分に注意
自社が元請として受注したのか、下請けとして受注したのかを明確に区別して記載します。
元請工事
直接施工または元請としての金額。
下請工事
下請負人として受注した金額。
兼業事業
建設業以外の売上は、建設業法の対象外であるため、この工事経歴書には原則として記載しません。
➃工期の着手と完了の整合性
事業年度内に完工した工事を記載するのが基本です。
継続工事の扱い
前事業年度から着手し、当事業年度中に完成した工事は記載対象です。
未成工事の扱い
当事業年度末においてまだ完成・引渡が済んでいない未成工事のものは、原則として完成工事高の対象外となるため、当期の工事経歴書には含めません。
⑤許可業種ごとの分類
複数の建設業許可を取得している場合、業種ごとに分けて工事経歴書を作成する必要があります。専門外の業種の工事が混ざっていないか、技術者の資格と紐づいているかを確認しましょう。
まとめ
・金額は原則「税込」で記載する。
・売上高の上位から主要な工事をピックアップし、全体の6割~7割以上をカバーする。
・工事名は具体的かつ正確に、発注者名や施工場所も省略せずに記入する。
・元請・下請の区分、工期の期間を正確に管理する。
・複数業種がある場合は、業種ごとに適切に分類する。
工事経歴書の作成や決算内容と許可要件の整合性にお悩みの方は、ぜひ当事務所までご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」