建設業を営む経営者の方々にとって、売上高の増減は重要な経営のバロメーターといえます。
ここで許可申請において売上高の減少は、許可にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
結論からいうと、売上高の変動自体が即座に許可の取消しに繋がることはありません。
しかし、建設業許可には経営能力や財産的基礎を証明して取得するものです。
売上高が大きく動くことは、これらの許可要件の維持に間接的に影響を及ぼす可能性があります。
今回は、神奈川県で建設業許可を取り扱う行政書士の視点から、売上高の変動が許可に与える影響と、経営者が押さえておくべきリスク管理について解説します。

売上高が減少した場合

売上高が減少すると多くの場合、決算書の利益が圧迫されます。建設業許可の維持において最も懸念されるのは、財産的基礎(一般建設業)の要件です。

経営状況の悪化と自己資本

一般建設業の許可要件の一つに自己資本の額が500万円以上というものがあります。赤字が続いて自己資本がこの基準を下回ると、許可更新のタイミングで要件を満たせなくなるリスクがあります。
売上が減少し赤字が定着してしまうと、事業が苦しくなり建設業者としての社会的信用を証明する許可そのものの維持が危うくなるという負の連鎖に陥りかねません。

売上高が急増した場合

一方で売上高が短期間で急激に延びた場合、注意するべき点があります。

経営規模の拡大と許可区分の見直し

売上高の増加は、受注する工事規模の拡大を意味することが多いです。ここで注意するべき点は特定建設業許可への切り換え検討が挙げられます。
発注者から直接請け負う工事において、1件の契約金額が5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上となる場合、あるいは下請代金の合計が一定額を超える場合は、特定建設業許可が必要です。売上の急拡大により、無意識のうちにこれらの基準を超えてしまうと、法令違反となってしまいます。
また、売上の急増は工事の施工能力や技術者の配置とのバランスを崩す原因にもなります。神奈川県の審査において、実態と乖離した売上規模であると判断された場合、審査対象となる可能性も否定できません。

売上高と連動する決算変更届の重要性

建設業許可を受けている皆様は、毎決算終了後4ヶ月以内に決算変更届(事業年度終了報告書)を提出する義務があります。
この決算変更届に含まれる工事経歴書や財務諸表は、まさに売上高の変動を行政に報告する書類です。売上が変動した際、決算変更届の内容と実際の工事実態が整合しているかが、次回の許可更新の際、あるいは経営事項審査(経審)の際にチェックされます。

・売上規模に見合った人員は確保されているか?
・急激な増収に見合った自己資本が蓄積されているか?

これらのデータは、行政が経営状況を判断する情報となります。

まとめ

経済情勢の変化により、売上高の変動は避けられないものですが、建設業許可を維持するためには、許可要件というルールの枠内に経営を収め続ける必要があります。

売上が減少している場合

自己資本比率を確認し、赤字脱却に向けた経営改善計画を立てる。

売上が急増している場合

特定建設業への切り替えが必要か、技術者や財産要件を再確認する。
事業を継続していくためには、常に建設業許可要件を満たし続けているかという視点を持つことが肝要です。
現在の売上高が許可要件にどのような影響を及ぼすか不安を感じている方や神奈川県の建設業許可申請に関する電子申請(JCIP)への対応や、決算変更届についてのお問い合わせは当事務所までお気軽にご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所