建設業法は、建設業を営む者の資質向上や、建設工事の請負契約の適正化を図ることで、発注者の保護と建設業の健全な発展を目的としています。この法律を正しく理解することは、事業の安定と拡大に直結します。
今回は、建設業法の全体像を許可制度、技術者制度、請負契約の適正化、経営事項審査、監督処分の5つの柱に分けて解説します。
建設業許可制度について
建設業を営む際、原則として許可が必要ですが、すべての工事に必須というわけではありません。
許可が不要な軽微な工事
・建築一式工事以外:1件の請負代金が500万円未満(税込)の工事
・建築一式工事:1件の請負代金が1,500万円未満、または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
これらを超える規模の工事を請け負う場合は、必ず許可を取得しなければなりません。
許可を受けるための4つの要件
許可を取得するためには、主に以下の4つの基準をクリアする必要があります。
➀経営能力:適正な経営体制(経管)を備えていること。
➁財産的基礎:資金調達能力や自己資本が一定以上であること。
➂技術力:営業所ごとに一定の資格や経験を持つ営業所技術者(専技)を配置していること。
➃適格性・誠実性:不誠実な行為をする恐れがなく、欠格要件(罰則歴や暴力団排除など)に該当しないこと。
大臣許可と知事許可、一般と特定の違い
許可には、営業所の設置状況や請負の規模によって区分があります。
・知事許可:1つの都道府県内のみに営業所を置く場合。
・大臣許可:2つ以上の都道府県に営業所を置く場合。
・一般建設業:通常の許可。
・特定建設業:元請として、下請代金の合計が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)となる工事を施工する場合に必要な、より厳格な許可です。
技術者制度について
建設業法では、工事現場に必ず技術者を配置することを義務付けています。これは手抜き工事を防ぐことに繋がり、安全な施工を確保するためです。
主任技術者と監理技術者
・主任技術者:すべての工事現場に配置が必要な技術者です。
・監理技術者:特定建設業者が元請として、大規模な下請契約(5,000万円以上、建築一式は8,000万円以上)を締結した現場に配置します。
また、公共性のある重要な工作物に関する工事(多くの戸建住宅も含まれます)では、これらの技術者は専任でなければならず、他の現場との兼務が厳しく制限されるため注意が必要です。
請負契約の適正化について
建設業界には元請、下請という構造があるため、対等な立場で契約が結ばれるようルールが定められています。
書面による契約締結の義務
工事内容、請負代金、工期などを記載した書面(または電子契約)を、着工前に交わさなければなりません。
元請負人の義務
下請代金を不当に低く設定することの禁止や、支払期日の遵守が求められます。また、一定規模以上の下請契約を結ぶ場合は、現場の施工体制を把握するための施工体制台帳の作成が義務付けられています。
経営事項審査(経審)について
公共工事を直接請け負おうとする建設業者は、必ず経営事項審査(経審)を受けなければなりません。
これは、国や自治体が発注先を選ぶ際の客観的な格付けの基準となるものです。
➀経営状況(Y):財務諸表を基にした分析
➁経営規模(X):完成工事高や自己資本
➂技術力(Z):技術者数や元請完成工事高
➃社会性等(W):社会保険の加入状況、防災活動への貢献など
これらを得点化し、会社の総合評点(P点)が算出されます。
監督処分について
建設業法に違反した場合、厳しい行政処分が下される可能性があります。
・行政指導:文書による勧告など。
・監督処分:指示処分、営業停止処分、そして最も重い許可取消処分があります。
・罰則の適用:悪質な場合は、懲役や罰金などの刑罰が科されることもあります。
一度許可を取り消されると、原則として5年間は再取得ができません。これは事業の継続にとって致命的なダメージとなります。
まとめ
建設業の手続きは専門性が高く、法改正も頻繁に行われます。労働環境の改善に関する規制も強化されています。
建設業許可の新規取得や維持、経営事項審査の対策など、少しでも気になることがあれば、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」