隣の県まで産業廃棄物を運ぶことになり、それぞれの県で手続きをしなければならなくなった場合、その県の許可も必要になります。
今回は、積替え保管なしのケースを前提に、複数の都道府県でスムーズに産廃運搬の許可を取得、維持するためのコツを解説していきます。

積卸し地の自治体の許可が必要

産業廃棄物収集運搬業の許可は、積む場所と降ろす場所を管轄するすべての都道府県知事または政令市長から取得する必要があります。
通過するだけの都道府県は許可不要です。たとえば、埼玉県で積み込んだ産廃を神奈川県で処分するために、東京都をトラックが通過するだけであれば、東京都の許可は必要ありません。
自社のトラックの導線が、どこで積み、どこで降ろしているかを把握することが、許可取得に重要です。

共通書類のマスターデータを活用する

複数の自治体へ同時に申請する場合、最もネックになるのが膨大な書類の収集と作成です。
申請書や定款、登記事項証明書、役員等の住民票・身分証明書・誓約書、決算書などの添付書類の大部分は、どの自治体であっても共通して使用できます。但し、原本が必要なものもあるため、複数の自治体分、枚数を用意する必要があります。
まずは1つの自治体に提出する完全な書類セットをデジタルデータ(PDFやWord等)で緻密に作成し、それをベースにします。
住民票や身分証明書、登記簿謄本などは発行後3ヶ月以内などの有効期限があります。複数自治体へ同時に申請する場合、この期限内にすべての自治体の申請予約・提出が完了するよう、逆算して取得スケジュールを組むことが肝要です。

自治体ごとのローカルルール

最も厄介なのが自治体ごとに独自様式や添付書類の追加などのローカルルールが存在する点です。
例えば、A県では不要な誓約書が、B県では追加で求められたり、講習会修了証のコピーの裏表紙の扱いが異なるなどが挙げられます。
これらを自社だけですべて調べ上げて対応しようとすると、差し戻しや修正のたびに多大な時間ロスが発生します。複数地域へ展開する際は、各自治体の手引きを熟読することはもちろん、必要に応じて、その地域に精通した行政書士を活用するのも、トータルのコストを抑える合理的な手段です。

費用と更新時期のスケジュール管理

複数県で許可を取る場合、金銭的、時間的なコスト管理も重要です。

法定手数料は自治体の数だけかかる

新規申請であれば1自治体あたり81,000円、更新であれば73,000円の法定手数料がそれぞれ発生します。予算はあらかじめ自治体数分を見込んでおきましょう。

更新期限がバラバラになるリスクへの対策

許可の有効期限は一律で許可日から5年間です。複数県で時期をずらして取得すると、毎年のようにどこかの県の更新手続きがやってくるという状況になります。 いつどの県の更新があるかを一覧化した管理表を社内で共有し、うっかり失効を防ぐ対策が必要です。

まとめ

複数の都道府県で産業廃棄物収集運搬業を行うことは、事業拡大に伴う会社の発展である一方で、行政手続きの負担が膨れ上がる側面もあります。

・動線を整理し、必要な自治体を正確に見極める
・共通書類のマスターを効率よく流用する
・スケジュールと更新管理を徹底する

これらを意識するだけで、手間やコストを削減できます。
複数の自治体への申請でお困りの方は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」