建設業許可には29の業種がありますが、その中でも判断に迷いやすいのが、防水工事です。
今回は、防水工事の定義から具体的な内容と、特に混同しやすい他の専門工事との境界線について解説します。
建設業許可における防水工事の定義
建設業許可における防水工事は、以下のように定義されています。
アスファルト、モルタル、シーリング材等を用いて防水を行う工事
簡単にいうと、建物や構造物から、水の侵入を防ぐように、処理を施す工事のことです。
具体的な工事例
ガイドラインでは、以下のような工事が防水工事の例として挙げられています。
アスファルト防水工事
溶融アスファルトと防水シートを重ねて防水層を作る。
モルタル防水工事
防水剤を混ぜたモルタルを塗布する。
シート防水工事
塩化ビニルやゴム製のシートなどで貼り付ける。
塗膜防水工事
ウレタン樹脂などの液体状の材料を塗り、硬化させて防水層を作る。
シーリング工事
サッシまわりや外壁の目的にシーリング材を充填する。
ここで注目するべきはシーリング工事は単独で防水工事に含まれるという点です。外壁の補修などでシーリングのみを行う場合、建設業許可上は防水工事のカテゴリーになります。
他の専門工事との境界線
防水工事を理解する上で重要なのが、他の工種との重複や混同です。一見すると防水のようでも、別の業種区分である場合があります。
➀屋根工事との違い
防水工事
陸屋根(平らな屋根)などで、アスファルトやシートを使って水を通さない層を作る工事。
屋根工事
瓦、スレート、金属板などを使って屋根をふく工事。
ポイントとしては、屋根ふき材そのものを使って雨を防ぐ場合は、屋根工事になります。一方、建物の構造体に対して防水層を形成する場合は防水工事になります。震災の多い日本では、ガリバリウム鋼板の屋根をよく見かけますが、ガルバリウム鋼板の屋根を張る工事は、防水性が高くても屋根工事に該当します。
➁左官工事との違い
防水工事
防水を主目的として、防水剤入りのモルタルを塗る。
左官工事
壁や床を平滑にする、あるいは装飾するためにモルタルを塗る。
ポイントとしては、モルタル防水は左官業者が行うことも多いですが、許可上は防水工事となります。ただし、地下室の防湿のためのモルタル塗布などは、どちらに分類するのか慎重な判断が必要です。
➂塗装工事との違い
ベランダや床などに防水塗料を塗る場合、どちらの許可が必要か迷うことがあります。
防水工事
ウレタン防水など、厚みのある膜を作って本格的な防水層を形成する場合。
塗装工事
主に美観や保護を目的として、薄い塗膜を塗る場合。
ポイントとしては、防水塗装という名称だけで判断せず、その工事が防水層を構築するものなのか、それとも表面を保護、着色するものなのかによって判断します。
➃とび・土工工事との違い
漏水を止めるために注入を行う場合も注意が必要です。
防水工事
建築物の内部や屋上から、水漏れを防ぐために行うシーリング注入。
とび・土工工事
地盤の改良や、トンネル・ダムなどの土木構造物に対して行う薬液注入工事。
ポイントとしては、建築系の漏水防止なら防水、土木系の止水なら、とび・土工という区分が一般的です。
防水工事の許可を取得するメリット
➀500万円以上の工事(税込)を受注できる
マンションの屋上防水一式などは、500万円以上の金額を超える傾向にあります。許可が無いと、これらの大きな案件を受注できません。
➁元請業者からの信頼向上
コンプライナンスを重視するゼネコンやマンション管理組合などは、金額にかかわらず、許可を持っていることを取引の条件としているところが増えています。
➂附帯工事として他の工事を扱える
防水工事が主たる工事であれば、それに附随する軽微な塗装工事などを附帯工事として一括で請け負うことが可能になります。
実務経験の証明
防水工事の営業所技術者(専技)になるためには、以下のいずれかが必要です。
資格:1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定など。
実務経験:10年以上の防水工事に関する実務経験。
ここで注意したいのは、塗装工事の経験で防水工事の許可は取れないということです。過去の契約書や注文書に防水の文字が明記されているか、実務内容が客観的に証明できるかが肝となります。
まとめ
防水工事は、建物の寿命を左右する重要な専門工事といえます。
しかし、その定義は屋根、塗装、左官、とび・土工といった隣接する業種と密接に関わっており、許可申請の際には、自社が行っている工事がどの業種に該当するのかを正確に見極める必要があります。
間違った業種で許可を持ってしまうと、せっかくの実績が将来の更新や業種追加に活かせないばかりか、無許可営業とみなされるリスクもゼロではありません。
少しでも判断に迷われたら、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
貴社の実績を正しく把握し、最適な許可取得をサポートいたします。
「グラス湘南行政書士事務所」