建設業許可の取得を目指すにあたり、どの業種で取得するべきかの選定は、最初の大きなハードルといえます。特に塗装工事は身近な工事である反面、他の工事との境界線が曖昧で、判断に迷うケースが多々あります。
今回は、塗装工事の定義や該当する工事、そして間違えやすい他の専門工事との違いを解説します。

建設業許可における塗装工事の定義とは?

建設業法における塗装工事は、以下のように定義されています。
塗料、塗材等を工作物に吹き付け、塗り付け、又は貼り付ける工事。
ポイントは装飾だけではなく、建物保護の目的も含まれる点です。建物の外壁をきれいに見せるだけではなく、サビや腐食から構造物を守るための処置も装飾工事の範囲に入ります。

具体的にどんな工事が塗装工事に該当する?

実務上、塗装工事として扱われる代表的な例を挙げます。

外壁塗装工事・屋根塗装工事

一般的な住宅やビルの塗り替え。

建築物仕上げ塗装

新築時の仕上げ工程。

鋼構造物塗装工事

鉄骨や橋梁、ガスタンクなどのサビ止めを含む塗装。

路面標示工事

道路の白線や矢印、横断歩道のペイント。

噴霧塗装工事

吹き付けによる塗装。
ここで注意が必要なのは、路面標示工事です。道路を作る工事だから土木工事と思われがちですが、これは塗装工事に分類されます。

塗装工事と混同しやすい3つの専門工事

塗装工事と混同しやすい工事として、以下3つは要注意です。

➀防水工事との違い

塗装工事

主に美装や表面保護が目的。

防水工事

主に漏水防止が目的。
例えばエポキシ樹脂による床面コーティング。これが廊下の防塵や美観目的であれば塗装工事ですが、屋上やベランダで雨漏りを防ぐためにシートや塗膜を貼る場合は防水工事となります。
塗るという行為は同じでも、その目的が何かで業種が異なります。

➁左官工事との違い

壁を塗るという点では共通していますが、材料と厚みが異なります。

塗装工事

塗料を薄く塗る。

左官工事

モルタル、漆喰、プラスターを、コテを使って厚く塗り上げる。
最近はデザイン性の高い吹き付け材も増えており、判断が難しい場合がありますが、一般的には下地を作るのが左官、仕上げに色を載せるのが塗装とイメージすると分かりやすいでしょう。

➂とび・土工・コンクリート工事との違い

先述した路面標示に関連して、ガードレールの設置や道路の補修工事を丸ごと請け負う場合これらは、とび・土工に該当することがあります。しかし、ラインを引く作業のみに特化していれば、それは塗装工事となります。

塗装か鋼構造物、どっちで取るべきか?

もう一つの落とし穴が、鋼構造物工事との関係です。
鉄塔や橋などの塗装は、塗装工事に含まれますが、もし鉄骨の製作から組み立て、さらにその後の塗装までを一貫して請け負う場合は、メインとなる鋼構造物工事の許可が必要になります。
塗装単体で受けるのか、構造物の製作から関わるのかによって、必要な許可が変わってくるのです。

塗装工事の許可を取得するメリット

➀コンプライアンスの証明

元請企業は昨今、無許可業者への発注を避けている傾向にあります。これもコンプライアンスの意識が企業全体に高まっているといえるでしょう。

➁融資の受けやすさ

銀行からの信頼度が格段に上がります。

➂公共事業への参入

路面標示工事など、官公庁の案件には必須です。

実務経験の証明に注意!

塗装工事の許可申請で最もハードルが高いのが、営業所技術者(専技)の証明です。
10年の実務経験で証明する場合、過去10年分の注文書や契約書を用意する必要があります。その際、請求書の品名に改修工事一式とだけ書かれていても、許可行政庁は塗装工事としての証拠が薄いと判断し、差し戻されてしまうリスクがありますので注意が必要です。
日頃から、「外壁塗装工事」「屋根塗装工事」など、工事内容がハッキリわかる書面を残しておくことが、許可取得への近道といえます。

まとめ

例えば、防水工事だと思って実績を積んでいたのに、実は塗装工事だった為、カウントできないといった事態を防ぐためにも、早めの確認が肝要です。
貴社の行っている工事が塗装に該当するのか、他の業種として併せて申請するべきなのか、少しでも不安に感じられましたら、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所