建設業許可には29種類の業種がありますが、その中でもガラス工事は一見、分かりやすい工事に思えるかもしれません。しかし、ガラス工事においても、他の専門工事との境界線が曖昧な部分があります。
今回は、ガラス工事の定義から具体的な例や、実務で迷いやすい建具工事や内装仕上工事との違いを解説します。
ガラス工事の定義と具体例
国土交通省のガイドラインによると、ガラス工事の定義は以下の通りです。
工作物にガラスを加工して取付ける工事。
ポイントは、ガラスを置くことではなく、工作物に対して加工や取付を伴う点にあります。
具体的な工事の例
ガラスはめ込み工事
窓枠や開口部にガラスを設置する。
ガラスブロック据付け工事
ガラスブロックを積み上げて壁や間仕切りを作る。
ガラスフィルム貼り付け工事
飛散防止、断熱、防犯などの目的でガラスにフィルムを貼る。
他の専門工事との境界線
ガラス工事を申請する際、あるいは現場でどの許可が必要かを判断する際に、最も注意するべきなのが建具工事との違いです。
①ガラス工事と建具工事
ガラス工事
既存のサッシに対してガラスのみを交換する場合など、ガラスそのものを主眼に置いた工事。
建具工事
サッシ(枠)とガラスが一体となったものを、建物の開口部に取付ける工事。
窓を設置する際に、サッシやガラスを別々に発注することは少なくなっています。多くの場合、サッシにガラスが組み込まれた状態で現場に届き、それを取付けます。このサッシ、ガラスの取付作業は、原則として建具工事に該当します。
②ガラス工事と石工事・タイル工事
ガラス工事
ガラスブロックを主材として壁などを作る。
石・タイル工事
外壁に装飾としてガラスタイルを貼る場合などは、こちらに該当する可能性があります。
基本的には、透過性のあるガラスブロックを積むのであればガラス工事ですが、接着剤で表面に貼るような装飾的なものはタイル・れんが・ブロック工事と判断されるケースもあります。
③ガラス工事と内装仕上工事
店舗の内装などで、ガラスのパーテーションを立てる場合があります。
ガラス工事
ガラス板そのものを加工して、直接床や天井の溝にはめ込むような工事。
内装仕上工事
アルミやスチールのフレームで区切りを作り、その一部にガラスが含まれるような、空間を作る工事であれば、内装仕上工事とみなされることがあります。
ガラスフィルムはガラス工事
近年需要が増えているガラスフィルムの施工ですが、これは明確にガラス工事に分類されます。
内装の一部だから内装仕上工事と思われる方もいますが、対象物がガラスであり、その機能向上を目的とした加工であるため、ガラス工事の範疇となります。ただし、壁紙(クロス)を貼るついでに小さなガラスに目隠しシートを貼る程度であれば、主たる工事の附帯工事として扱われます。
ガラス工事の許可を取得するための要件
ガラス工事の営業所技術者(専技)として認められるためには、以下の資格や経験が必要です。
指定学科
建築学、都市工学に関する学科を卒業していると、実務経験期間の短縮が可能です。
資格(一般建設業の場合)
・1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)
・技能検定(ガラス施工)
特に、現場で長く活躍されてきた方は、建築ガラス施工の技能検定をお持ちのケースが多いです。資格がない場合は、10年以上の実務経験を証明する必要があります。
業種追加の注意点
前述の通り、建築現場ではサッシの取付がセットになることがほとんどです。もしガラス工事の許可しか持っていない状態で、サッシの取付を含む500万円以上の工事を請け負ってしまうと、建設業法違反に問われるリスクがありますので注意が必要です。
ガラス施工業を営むのであれば、ガラス工事と建具工事の両方の許可を取得しておくのが最も肝要といえます。
まとめ
ガラス工事は、フィルム施工やガラスブロック設置など、多岐にわたる専門技術を要する工事です。しかし、その境界線はサッシとの兼ね合いで非常に曖昧になりやすい側面を持っています。
今の工事内容はガラス工事の範囲内に収まっているのか、建具工事の許可も取得するべきではないのかなど、正しく判断することが、コンプライアンス遵守と事業拡大の第一歩といえます。少しでも不安に思われたら、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」